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サイエンスSNSにハマる脳の働きは、エサを狙う実験動物と同じ
Living in a Cyber Skinner Box
「分かりやすい報酬」は格好の条件付けになる argument/iStock.
<ソーシャルメディアの投稿頻度と「いいね!」の数には直接的な相関関係があった>
「いいね!」をもらうとうれしくなって、インスタグラムの投稿がどんどん増える。このときあなたの脳は、餌を求めるネズミの脳のように活動しているのかもしれない。
先頃、科学誌のネイチャー・コミュニケーションズに、ソーシャルメディアの投稿の頻度と「いいね!」の数に直接的な相関関係があることを示す論文が発表された。研究チームはこれを、スキナー箱と呼ばれる実験装置になぞらえて説明している。
20世紀前半にアメリカの心理学者バラス・スキナーが開発したこの装置は、報酬学習に代表されるオペラント条件付け理論の研究に用いられる。基本的な仕組みは、実験用の小動物(マウスが多い)がレバーを押すなど特定の作業をすると、報酬として餌が与えられるというものだ。
今回の場合、スキナー箱がインターネット、レバーは面白いコメントなどの投稿、人間がマウスとなる。
「何かを投稿すると、『いいね!』をもらえるだろうかとわくわくする。『いいね!』が多いほど気持ちよくなって、さらに投稿するのではないか」と、論文の共著者でニューヨーク大学の心理学・神経科学教授のデービッド・アモディオは言う。
研究チームはまず、インスタのユーザー約2000人の投稿と、さまざまなオンラインフォーラムのユーザー約2000人の投稿を100万件以上分析。続いて、実験の参加者176人がインスタを模したオンライン環境を利用し、コンテンツを投稿して「いいね!」を送り合った。
「『いいね!』をもらう本人には分からないように、その数を調整した」と、アモディオは言う。計算モデルを用いた分析の結果、「『いいね!』を多くもらった人は、より頻繁に投稿することが分かった」。
「ソーシャルメディアの報酬(いいね!)は、オフラインの社会的報酬に比べて非常に簡単に定量化できる。オフラインで明確な報酬をもらえないことに失望して、オンライン環境を優先する人が出てくる可能性はある」と、筆頭著者のビョルン・リンドストロームは考察する。
ソーシャルメディアにハマった人は現実の世界でなく、サイバー版スキナー箱の中で暮らしているのかもしれない。