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「企業はどうSDGsに向き合うべきか?」蟹江研究室・久米さくらさんが研究する持続可能性

2025年2月18日(火)13時00分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

──蟹江研究室ではどのような研究をしていますか?

現在は商業施設におけるサステナビリティの調査プロジェクトに携わっています。このプロジェクトでは、事業会社と連携し、飲食店やホテルなどと直接対話を行い、サステナビリティへの取り組み状況を調査しています。基準項目をこちらで設定し、それを基に評価を進めています。

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久米さくらさん

また、研究室の企業班では、引き続き「学生による学生のための企業調査」を行っています。日本企業のサステナビリティへの取り組みを独自の基準で評価・分析し、社会に発信する活動をしています。

──蟹江研究室での研究はSDGs達成のどのような部分に貢献していますか?

研究室全体では、SDGsのさまざまな目標を網羅することを意識していますが、現在のプロジェクトでは特に「目標12: つくる責任 つかう責任」に関連するフードロス問題や、「目標13: 気候変動への具体的対策」に関連する省エネや分別促進などを重点的に取り組んでいます。商業施設での調査を通じて、これらの目標にどのように貢献できるかを探っています。

──なぜ商業施設をテーマにしたのですか?

実は、我々が選んだというよりも、共同研究としてプロジェクトの依頼を受けた形です。ただ、実際に調査を進める中で、商業施設の特徴が研究として非常に興味深いと感じています。例えば、大企業はサステナビリティ経営が注目されていますが、商業施設に入っているようなテナント事業では、店長など現場の裁量に依存する部分が多く、その温度感や意識によって取り組み方に大きな差があることが分かってきました。また、SDGsへの取り組みが形式的に留まっているケースも少なくありません。こうした現場の課題に向き合うことで、より実効性のあるガイドラインの必要性が見えてきています。

──研究を進める中で、どのようなことが分かってきましたか?

現在、まだ10月に始まったばかりの調査段階で、具体的な分析結果は出ていません。ただ、店舗によってSDGsへの取り組みに大きな温度差があることや、「何がSDGsに繋がるのか分からない」という声が多いことが分かりました。そのため、商業施設側から指標やガイドラインを提示することで、現場がより動きやすくなるのではないかと感じています。

──海外の商業施設との違いについて、何か分かっていることはありますか?

まだ詳しいデータは集まっていませんが、先行事例として海外の商業施設を調査しました。海外では、サステナビリティをテーマに掲げた商業施設もあり、先進的な取り組みが行われています。国内でもこうした事例を参考に、商業施設の取り組みをより具体的に進めることが可能だと思います。

今後は現在進めている調査を基に、来学期以降は結果を分析し、「SDGsをどのように浸透させられるか」という具体的な施策や提案を検討していきます。特に、商業施設がSDGsに取り組むためのインセンティブをどのように設計するかを検討していきます。商業施設は多くの人が訪れる場所であり、認知度の向上や消費者の意識改革に大きな可能性があると考えています。そのため、消費者へのアプローチを含む具体的な施策を模索していきたいです。

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