最新記事
ごみ処理

フィリピン「ごみゼロ」宣言の裏にある現実...達成は「有害な環境」「低賃金」で働く非正規労働者頼み

2025年1月18日(土)15時03分
フィリピンのごみ処理事業

フィリピンの首都マニラのある川沿いの地区は、コロナ禍の時期に捨てられたマスクやペットボトルのごみに悩まされた。写真は、がらくたを扱う店でペットボトルを仕分ける女性。2024年11月、マニラ首都圏のケソン市で撮影(2025年 ロイター/Eloisa Lopez)

フィリピンの首都マニラのある川沿いの地区は、コロナ禍の時期に捨てられたマスクやペットボトルのごみに悩まされた。そこで地元のコミュニテーが立ち上がり、独自のごみ処理事業を設立。女性を中心とした従業員には生活向上のチャンスが生まれている。

「タグムパイ83ごみゼロ協同組合」は、街路清掃員や運転手、河川保護官からなるネットワーク。地域住民5700人に加え、近隣24の村と5つの学校からリサイクル可能なごみを回収し、リサイクル施設に売却して収益を得ている。

「バランガイ830」と呼ばれる自治体でごみ回収を担う非正規労働者の協同組合で代表を務めるキャサリン・ガブリエル氏は、トムソン・ロイター財団の取材に対し、この組合は「プラスチックごみを削減するだけでなく、参加者にとっては家計の足しにもなっている」と語る。

国連人間居住計画(ハビタット)は、事業拡張に向けて、この団体を含むマニラ市内の2つの地域団体に研修と資金を提供する。

毎年発生する膨大な量のごみへの対処に向けてフィリピンが投じているリソースは十分とは言えず、ほとんどのコミュニティーではごみ回収・再利用が難航している。2020年には1805万トンのごみが発生し、2025年には2361万トンに達する見込みだ。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中