フィリピン「ごみゼロ」宣言の裏にある現実...達成は「有害な環境」「低賃金」で働く非正規労働者頼み
ごみ問題に対処するのは村やバランガイと呼ばれる近隣自治体の行政部門だが、業務を支える資金や経験豊富な職員、インフラは不足している。地域団体がそのギャップを埋めることも多いが、スタッフは低報酬で雇用の保証も期待できない。
バランガイ830の協同組合は、NGOやハビタットからの資金支援を受け、設備購入や施設運営を行っている。ガブリエル氏は、協同組合の収入だけでは収集トラックの購入やオフィスの維持が難しいと話す。
フィリピンは持続可能な生産・消費習慣を促すために、今年1月を「ごみゼロ月間」としている。2030年までに産業廃棄物・使用済み包装ごみの自然界への投棄をなくすという取組みの一環だ。
このキャンペーンに関する政府のポスターでは、「民間のごみ処理部門で持続可能性と循環性を実現する」というテーマが掲げられている。
だが、フィリピンではごみ処理に携わる非正規の労働者が現在のリサイクル実践の柱となっている。彼らがどのように関与するのかは不透明だ。
<ごみ処理のギャップ>
ごみ処理のギャップを埋めるため、フィリピンは4万2000カ所のバランガイと村に資源回収施設と分別ごみ戸別収集体制の整備を求めているが、国家監査委員会によれば、これらを備える村は39%に過ぎない。