海運の要・パナマ運河を気候変動が直撃、16億ドル巨大ダム計画が「危うい」深刻な事情

2024年12月8日(日)17時34分

ダム計画が承認された場合、竣工は2030年または2031年と予想されている。だが状況は切迫している。昨年は110年のパナマ運河史上でワースト3位となるひどい水不足に見舞われた。ワースト2位は2015年だった。気候学者らは、今後の気温の上昇によりパナマを襲う干ばつはさらに深刻になり、水の蒸発も加速していくと予想している。

最高裁判所が7月にある地域を運河庁の管轄下に戻したことにより、同庁管轄区域の面積は約2倍になった。管轄区域は、事業の拡大やダムの建設も含めた水源確保に利用することができる。

運河庁による初期調査によれば、このプロジェクトでは住民約2260人の退去が必要になるほか、ダム一帯でさらに2000人が少なくとも何らかの影響を受けることになる。

エスピノ副長官によれば、影響を受ける住民人口をさらに正確に把握するための調査が1月に完了する予定だというが、その一方で、トレスエルマナス地域では重機が通行できるような橋梁など一部のインフラ整備事業が政府により進められている。

パナマ公共事業省はある報道資料の中で、この橋梁はリオ・インディオ川を渡る車両・歩行者の利用を想定したものだと述べている。

エスピノ副長官は、プロジェクトの技術的側面に関連した計画に触れ、「すでに着手した部分もある」と語る。「しかしもちろん、このプロセスで最も複雑な部分は、住民の移転だ。世帯ごとに個別の面談を行わなければならない」

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