「年間約140億立方メートル」コンクリートの製造過程で生じるCO2の回収・貯留・再利用の技術に高まる期待
Green Cement on the Way
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低炭素セメントの製造を手がけるフォルテラの工場(カリフォルニア州レディング) FORTERA
<コンクリート製造過程の二酸化炭素排出を減らし、環境負荷を軽減するための新技術の開発が進んでいる。導入への課題とは?>
水を別にすれば、世界で最も大量に使われている物質はコンクリート。その量は全世界で年間約140億立方メートル。用途の40%は住宅や商業施設、橋梁などの建設だ。
しかしコンクリートの製造過程では、地球温暖化の元凶である二酸化炭素(CO2)が大量に排出される。そしてその90%は、コンクリートを固めるのに欠かせないセメント(ポルトランドセメント)の製造に由来する。ポルトランドセメントは、世界の直接的CO2排出量の7~8%を占める。
これでは持続不能だ。効率的に低炭素セメント(いわゆる「グリーンセメント」)を製造する方法はないのか。
ある。例えば米カリフォルニア州レディングでは、素材技術会社のフォルテラが在来型セメント工場の隣に新たな施設を建設し、工場から排出されたCO2を回収し、それを用いて低炭素のセメント代替物(ある種の炭酸カルシウム)を作ろうとしている。うまくいけば、これでセメント製造時のCO2排出量を70%も削減できるという。
現代の都市生活にコンクリート製の建造物は欠かせない。当然、その建設に不可欠なセメントの需要は減らない。だがCO2の排出量は減らさねばならない。そこで重要になるのが、CO2の効率的な回収・貯留・再利用技術だ。
それがあれば、既存の工場で従来どおりセメントを製造しつつ、そこで排出されるCO2を回収し、それをセメントなどの製造に再利用できる。
導入には巨額投資が必要
現にノルウェーでは、ドイツのセメント大手ハイデルベルク・マテリアルズがセメント工場の敷地内に炭素回収・貯留施設を建設中だ。この施設では既存工場のCO2排出量の半分に相当する年間40万トンのCO2の回収・貯留が可能と推定されている。
だが、この技術の導入には高額な投資が必要だ。また回収したCO2を地下に貯留する場合は、一定の地質学的条件を満たす必要がある。
EUには排出権取引の仕組みがあり、大量のCO2を排出する企業は金を払って排出権を買わねばならない。しかし国際エネルギー機関の調べでは、それでも過去10年間でセメント部門のCO2排出量はさほど減っていない。
低炭素セメントの製造技術が普及すれば事態は改善されるだろうが、それまでの間はどうすればいいか。まずは資材の効率的な使用を推進し、エンボディド・カーボン(資材・建材の生産から廃棄に至るライフサイクル全体で排出されるCO2の量)が少ない製品を選ぶことだ。これだけでもエンボディド・カーボンを20%は減らせるはずだ。
低炭素セメントの使用を義務付ける手もある。アイルランドでは政府関連の建設事業で可能な限り低炭素の工法や低炭素セメントを使用することが義務付けられている。
将来的に、全てのセメントをグリーンに、つまり低炭素にすることは可能だろうか。容易ではないが、まずは既存のセメント工場にCO2の回収施設を設置し、低炭素セメントの効率的かつ大規模な生産を進めること。政府や業界全体の適切なインセンティブがあれば可能だ。
Jamie Goggins,Professor of Civil Engineering, College of Science and Engineering, University of Galway
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
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