世界一人気のコーヒー豆、アラビカ種を温暖化から救え
Climate-Proofing Coffee
収穫高に関する不安が高まる一方で、需要は増すばかりだ。一部の予測によると、世界のコーヒー消費量は現在1日当たり23億杯だが、今世紀半ばまでには2倍に跳ね上がる可能性がある。
コーヒー業界は、供給不足に対処しようと躍起になっている。アラビカ種以外の品種を栽培したり、ヒヨコ豆やデーツ(ナツメヤシ)の種などにカフェインを注入して代替コーヒーをつくったりする試みも行われている。
しかし、昔ながらのコーヒーを愛する人やンギブイニのようなコーヒー農家にとって最善の対応策は、アラビカ種の気候変動への適応力を高めて収穫高を増やすことだろう。非営利団体「ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR)」が主導するプロジェクト「イノベア」は、この目標に向けてアラビカ種の品種改良を促進しようとしている。
コーヒーの長い歴史を通じて、豊かな国々の商社や加工業者、販売業者は、コーヒー豆の収穫を増やすための投資を全くと言っていいほど行ってこなかった。
転機が訪れたのは2012年。気温と降雨パターンの変化により、さび病という病気が蔓延し、コーヒー生産に大きな打撃が及んだのだ。コーヒー業界がWCRを設立したのはこの年のこと。WCRには現在、190社以上の企業が参加している。