究極のリサイクル? 死後も役立つ「堆肥葬」が広がる背景
Earth to Earth, Dust to Dust
堆肥葬施設リコンポーズを設立したケイト・スペードCEO MAT HAYWARD/GETTY IMAGES FOR RECOMPOSE
<人生を締めくくる究極のリサイクル? 大気も土壌も汚染しない「第3の選択肢」を考える>
人間の遺体を土に返す「堆肥葬(自然有機還元葬)」。アメリカでは合法化する州が相次ぎ、デスケアサービス(葬儀、火葬・埋葬など死に関連するサービス)の未来になるかもしれない。
堆肥葬は伝統的な埋葬に代わる新たな選択肢だと賛成派は言う。通常は数年かかる遺体の分解プロセスをわずか数週間に短縮して土に返す。より環境に優しく、悲嘆に暮れる遺族にも重要な社会的利益をもたらし得ると言う。
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堆肥葬は火葬や土葬より二酸化炭素(CO2)排出量が少なく環境に優しいと賛成派は主張する。「火葬1回のCO2排出量は車で言えば970キロ近く走ったときの排出量に相当する」と、堆肥葬企業アース・フューネラルのトム・ハリーズCEOは言う。
堆肥葬は今年に入ってこれまでに少なくとも6州で合法化され、間もなくさらに数百万人が利用できるようになる可能性がある。
基本的に堆肥葬は遺体を納めた容器にムラサキウマゴヤシや木片など植物性の天然素材を入れ、最適の温度・条件下で分解プロセスを加速させる。通常約45日で分解が完了、利用前に堆肥の養分と品質を確認すると、同社の広報担当ヘイリー・モリスは言う。
最近では今年3月にアリゾナ州が堆肥葬を合法化。合法化法案は民主・共和両党の超党派の支持を受けてすんなり議会を通過。4月にケイティ・ホッブス州知事が署名して成立した。