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防災の盲点...「災害時のトイレ問題」に向き合うスターライト工業、被災者の声を反映した「いのちを守るトイレ」とは?

2024年11月7日(木)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

被災者の声に耳を傾けて生まれたプロジェクト

「いのちを守る安心なトイレプロジェクト」は、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに始動した。

当時、同社のトイレ事業担当者が神戸市内の被災地でボランティア活動を行った際、「備蓄されていたトイレが変形して使い物にならない」「組み立て方が分かりにくいため、混乱の中でとても大変だった」という声が多く寄せられたという。

「当時のテント式トイレは特に女性にとって衛生面や防犯面での不安が大きく、トイレを我慢することで二次的な健康被害も発生していました。このような問題を受け、神戸市から『簡単に組み立てられて丈夫で安全なトイレハウスを作れないか』と依頼され、プロジェクトがスタートしました」と、南埜氏は話す。

現在も被災者の声に耳を傾けて改善・改良を続けており、昨今では、女性や要配慮者にとっての使いやすさや、環境負荷低減に配慮した製品づくりを重視し、女性開発者が中心的な役割を果たしているという。

また、スターライト工業では災害時におけるトイレの重要性を伝える啓発活動も積極的に行っている。これまでに防災イベントや神戸市・栗東市の防災訓練に積極的に参加し、マンホールトイレや携帯トイレの使い方を学ぶ機会を提供してきた。

スターライト工業による災害トイレの使い方実演

自治体主催の防災訓練で、実際に備蓄されている災害トイレの使い方を実演を通じて学んでもらう機会を提供している

東京都世田谷区の学校への災害用トイレハウスの寄贈や、大阪の高校での出前授業の実施などを通してトイレ問題への理解を深める機会を提供しながら、若い世代のニーズを汲み取ることにも努めている。

「従業員向けの防災ワークショップを通して、社員の防災意識の向上や地域社会との結びつきの強化も目指しています。また、社内で防災士の資格取得を推奨し、社内防災士ネットワークでの活動も開始しようとしているところです。こうしたプロジェクトの活動を通して、人々の健康と尊厳を守り、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいきたいです」と、南埜氏は言う。

気候変動が深刻化している昨今、自然災害は世界各地で頻発するようになっている。スターライト工業の取り組みは、日本のみならず、世界の人々の健康と尊厳を守るためのヒントになるかもしれない。

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