最新記事
SDGsアワード

「私たちがSDGsプロジェクトを始めた理由」──アワード授賞式レポート

2024年3月26日(火)10時30分
森田優介(ニューズウィーク日本版デジタル編集長)

本誌の「SDGsパートナー企業」となった企業は、北は北海道から南は鹿児島県までの、大手メーカー、金融機関、ホテル、化粧品会社、宅配サービス会社、印刷会社や不動産会社など、計63社(下の一覧参照)。老舗企業もスタートアップもある。これらパートナー企業の事例を紹介する記事を、ウェブサイトに77本掲載している。

ニューズウィーク日本版SDGsアワード

パートナー企業にアンケートを取った結果、従業員数500人以下が6割強と、中堅中小企業が比較的多くを占めた。約半数が海外拠点を持ち、SDGsの社内体制に関しては濃淡がある。企業規模も影響しているだろうが、専門部署を持たない回答社が大半で、7割が取り組み開始から10年たっていない(下のグラフ参照)。「わが社はどのように取り組んでいけばいいか」そんな模索が今も各社で続いているとみることもできそうだ。

ニューズウィーク日本版SDGsアワード

授賞式には、パートナー企業の経営者やSDGs担当者ら100人以上が出席した。アワード受賞者の発表(受賞企業はこちらの記事で発表)後、受賞企業5社の代表者と蟹江教授、私が参加したトークセッションも実施し、参考になる国内外の事例から非財務情報の重要性まで、企業から質問が投げかけられた。

続けて設けた立食形式の懇親会では、参加者たちが自発的に活発な交流と意見交換を行う様子が見られた。

ニューズウィーク日本版SDGsアワード

本アワードをきっかけに今後、企業間の協業も生まれるかもしれない PHOTOGRAPH BY HIROSHI ENDO

本アワードの外部審査員を務めた蟹江教授は、国連事務総長に任命された世界の独立科学者15人のうちの1人として、4年に1度の「持続可能な開発に関するグローバルレポート(GSDR)」執筆に携わり、昨年9月に2023年版が公表されている。

授賞式でのスピーチでも述べていたが、SDGsの厳しい達成状況を伝えつつも、「変革を加速させなければならないというのがGSDRのテーマ」だという。「そしてそのためには、事例をもっと積み重ねていく必要がある」

昨年11月に行った本誌インタビュー(記事はこちら:「蟹江憲史教授が国連から任命されて書いた、SDGs『2030年まであと7年』の現実と希望」)でも、蟹江教授はこう語っている。

「例えば電気自動車(EV)は、この5年程度で急速に普及した。ノルウェーでは新車販売台数の20%がEVだったのが、今では80%がEVに置き換わっている......変革は必要であり、そして可能だと考えている」

日本でSDGsの事例をさらに増やし、地球を持続可能にするための歩みを加速させる。そのためにニューズウィーク日本版は、メディアとしてできることを志向し、「SDGsアワード」プロジェクトを立ち上げ、推進してきた。

4月からはプロジェクトの2年目が始動する。ご期待いただきたい。

●2023年度SDGsアワード受賞企業の詳細についてはこちら

20250401issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月1日号(3月25日発売)は「まだ世界が知らない 小さなSDGs」特集。トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中