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アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと」を初めて知った

My Drinking Was Out of Control

2025年3月27日(木)16時35分
クリス・ジャンセン(ライフコーチ)
ライフコーチのクリス・ジャンセン

断酒してからは、たくさん愛し、たくさん笑ったとジャンセンはつづる DAVID SCHLATTER PHOTOGRAPHY

<14歳で覚えたアルコールを37歳になってやめた。お酒をやめてからは、執筆して、走って、大笑いして、泣いて、時間の余裕もできた。昔は味わえなかった感情や匂いに接している>

人生で初めてのお酒の味は素晴らしかった。舌に触れたアルコールは脳にまで直接届き、生きることの全てが順調であるように感じられた。

優等生で完璧主義の高校生だった私は、心が休まることも満足することもほとんどなかった。そんな私が満ち足りた気持ちになったのだ。まるで魔法にかかったようだった。


14歳でお酒の味を覚え、37歳まで飲み続けた。高校生から、新米の母親だった頃までだ。学校生活、人間関係、キャリア、結婚、子育てと、どれも順調だったし、周囲はまさか私がアルコール依存症だとは思わなかっただろう。

だが、頭の中にはいつも葛藤があった。もう二度と飲まないと誓ったのに、「一口くらい構わない。完璧を求めなくたっていい」と自分に言い訳しては、また飲んでいた。

毎朝5時に起き、子供たちが目を覚ます前にランニングをした。家事を丁寧にこなし、毎食後に歯にフロスをかけた。それでも自分を律することができないたった一つのことに執着し、自分を責めた。「意志が弱い、だらしない」と。

自分を何とかコントロールしようとして、すっかり憔悴した。夜、家に子供がいるときも飲んでいた。記憶を失い、酔いつぶれる夜が多すぎた。

2007年9月のある朝、私はアルコール依存症の克服を目指す人々の自助グループに初めて参加した。私にとっては最後の頼みの綱だった。

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