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性犯罪

「だれにも言っちゃだめだよ」になぜ子どもは従ってしまうのか...集団の性被害を防ぐために気を付けたいこと

2025年3月26日(水)17時38分
櫻井 鼓 (犯罪心理学者、横浜思春期問題研究所副所長)*PRESIDENT Onlineからの転載

同調圧力が被害のうったえを邪魔することも

集団の場合に働く心理集団で被害にあっても、子どもたちが声をあげられない心理的な理由はさまざまありますが、そのうちの1つに、同調への圧力が働いている、ということがあります。「同調」とは、「他者が示す行動と同一の行動をとること」です。

みなさんも、さまざまな場面で経験があることと思います。所属している集団の中のだれかがしている言動に、自分も自然と合わせようとしますよね。特に、習い事や部活動など、日ごろから行動を同じくしている集団は閉鎖(へいさ)的になりやすい性質があり、同調圧力が高まります。


集団の一人一人は、加害者からされた行為がおかしいと思っていたとしても、「みんなはそうしている」、「みんなはおかしいと思っていないようだ」などと考えてしまい、拒絶(きょぜつ)できなかったり、集団から抜け出しにくくなったりして、集団の外にいる人に相談しない、ということがあるのです。

また、子どもの場合は、子ども同士でそのことについておしゃべりすることがあっても、そこから大人に話す、というところにまでいくには、時間がかかることがあります。

ですから、集団の同調がくずれるときが重要です。ふとしたときに、子どもから被害のうったえがあったり、性被害のサインをキャッチしたりしたら、「何かあったの?」と声をかけるようにしてください。

手なずけに気づくヒント

必要なとき以外、家族ではない大人と子どもが2人きりになる場面はできるだけさけましょう。もし、2人きりになっていやだと思ったら、その場からにげだしましょう。必要なとき以外、家族ではない大人と子どもが2人きりになる場面はできるだけさけましょう。

保護者や子どもにかかわる大人ができる工夫としては、複数の大人が見守る体制をつくる、ということだと思います。

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