鳥類の肺に高濃度のマイクロプラスチック検出...ヒトへの影響は?【最新研究】
Warning Over Microplastics in the Air We Breathe After Bird Lung Discovery
分析の結果、鳥の肺の組織から32種類のマイクロプラスチックが高濃度で検出された。1グラムあたり平均416粒、これは1羽あたりでは200粒以上に相当する。
比較として、デュベイ助教は2022年に発表されたヒトの肺の研究データを引用したところ、ヒトの肺からは39粒のマイクロプラスチック(12種類のポリマー)が検出されたという。
現在、人体における安全なマイクロプラスチックの許容量は確立されていない。しかし、体内に多量のマイクロプラスチックが蓄積されると、がんや不妊症、心疾患、呼吸器疾患のリスクが高まるとされている。デュベイ助教は次のように本誌に述べる。
「鳥類での数値は圧倒的に高いのですが、この違いをどう解釈するかは慎重に考えるべきです。しかし、環境の状態を示す指標となります。鳥類の調査を通じて、環境保全や汚染対策の重要な手がかりを得られるのです」
では、鳥は人間よりも多くのマイクロプラスチックを吸い込んでいるのだろうか?
「鳥は通常ヒトよりも呼吸回数が多く、肺の中で空気をより速く循環させています。しかし、鳥類とヒトが同じ場所で同じ空気を吸っている以上、両者とも同じプラスチック汚染にさらされている可能性が高いでしょう。体内への侵入経路を特定することで、マイクロプラスチックが生物全体に与える影響をより深く理解できるはずです」とデュベイ助教は述べる。
研究チームは今後、食物を介したマイクロプラスチックの摂取経路など、さらなる調査を進める予定だ。
【参考文献】
Jenner, L. C., Rotchell, J. M., Bennett, R. T., Cowen, M., Tentzeris, V., & Sadofsky, L. R. (2022). Detection of microplastics in human lung tissue using μFTIR spectroscopy. Science of The Total Environment, 831.
Wang, M., Zhou, P., DuBay, S., Zhang, S., Yang, Z., Wang, Y., Zhang, J., Cao, Y., Hu, Z., He, X., Wang, S., Li, M., Fan, C., Zou, B., Zhou, C., & Wu, Y. (2025). Assessing microplastic and nanoplastic contamination in bird lungs: Evidence of ecological risks and bioindicator potential. Journal of Hazardous Materials, 487.

アマゾンに飛びます
2025年3月11日号(3月4日発売)は「進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗」特集。ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニスト、29歳の「軌跡」
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら