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7歳で癌が発覚した娘の「お腹すいた」に母は涙...余命半年の女性を救った「1人だけの治験」

My Miracle Cure

2025年2月24日(月)13時05分
チェイス・マラコウスキー(癌サバイバー)

「単一患者IND(治験薬)」の許可を取得

医薬品の監督官庁である米食品医薬品局(FDA)の許可を得る必要もあった。父がFDAに申請して「単一患者IND(治験薬)」の許可を取得し、私がBPM31510を使用できるようにした。

病院は当惑しつつも、化学療法と並行してBPM31510による治療を開始した。効果は直ちに表れた。初治療の翌日には早くも体調が上向いてきたのだ。耐え難いほど苦しかった化学療法がそれほどつらくなくなった。


空腹という久しく経験していなかった感覚も戻ってきた。おなかがすいたと母に言ったときのことは、今もよく覚えている。母の頰を喜びの涙が伝っていた。白血球の数値も回復に向かい、以前の自分に戻れたように思えた。

いま癌は寛解しているが、再発を防ぐためにBPM31510を使用し続けている。私が使い始めた頃はまだ塗り薬しかなかったが、今は注射薬も開発された。現在この薬の権利を保有しているBPGバイオ社は、悪性の脳腫瘍・膠芽腫(こうがしゅ)や膵臓癌に関しても臨床試験を進めている。

私たち家族は、これまで実に多くの障害を乗り越えてきた。現行の医療システムは、研究段階の医薬品を簡単に使用させるようにはなっていない。FDAのINDに関する制度も途方もなく複雑だ。

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