「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新研究が示す新事実
Higher Testosterone Doesn't Increase Men's Sex Drive
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男性ホルモンの新常識...性欲との関係は薄い? Lance Reis-Unsplash
<男女間の性欲の違いを説明する要因とされたテストステロン濃度に、新しい解釈が加わろうとしている>
世間一般で信じられている通説に反し、テストステロン(男性ホルモン)濃度が高い男性の性欲が必ずしも強いというわけではないようだ。
学術誌『英国王立協会紀要』で2024年11月27日付けで発表された最新の研究論文で、テストステロン濃度の日ごとの変化と、男性が感じる性欲の変化のあいだにはつながりがないことが明らかになった。
興味深いことに、研究者らは、テストステロン濃度と、男性が恋人や配偶者に言い寄るときの熱の入れ方とのあいだに正の関係があることを発見した。この傾向がとりわけ強いのは、男性がパートナー候補を口説き落そうとするときだ。
論文には、「私たちの知見は、テストステロンと性欲の間にある日々の関連性に関して、まったく新たなエビデンスを提供するものだ。テストステロン濃度が最小閾値を超えても、性欲が増加するわけではないことを示している」と書かれている。
「ヒトの男性においては、テストステロンの役割が進化し、性欲より求愛活動との関連がより密接になっているという説を私たちは提唱する」
テストステロンは、おもに男性の精巣で生成されるホルモンで、女性でも少量ながら卵巣で生成される。男性のテストステロン濃度は、平均して女性の10倍から20倍だ。
思春期に入ると、テストステロンは男性の第二次性徴の発現を促す。これにより、ひげや体毛が生えたり、声が低くなったり、筋肉量や骨量が増加したりする。女性の場合は、テストステロンによって骨密度や筋力の増加が促される。
男性のテストステロン濃度の高さはしばしば、男女間で性欲が異なる理由のひとつだとされてきた。