最新記事
健康

ピスタチオが「加齢黄斑変性」のリスク軽減に効果がある可能性【最新研究】

Pistachios May Help Prevent Blindness in Old Age, Reveals Scientist

2024年11月7日(木)17時15分
ハッティ・ウィルモス

この仮説を検証するため、低量のルテイン摂取以外に健康上に問題のない、40歳から70歳までの成人36人に対して、「ランダムランダム化比較試験(RCT)」を実施。

被験者は2つのグループに無作為に分けられ、1つのグループは通常の食事を続け、もう1つのグループは1日2オンス(約56グラム)のピスタチオを追加摂取した。これはピスタチオを約2握り分で、ルテイン摂取量がほぼ2倍になる。

実験前、実験途中(6週目)、および実験終了時(12週目)に被検者の黄斑色素光学密度(MPOD)レベルを測定した結果、明確な結果が出たとしてスコット教授は次のように述べる。


 

「ピスタチオを食べた人々は、わずか6週間で黄斑色素光学密度(MPOD)に有意な増加がありました。これはピスタチオを定期的に摂取することで、網膜のルテインレベルを増加させ、目の健康を維持するのに役立つ可能性があることを示唆しています」

ルテインはまた、血液から脳に入り、抗酸化作用で炎症を抑え、認知症などのリスク因子とされる炎症を抑えることによって脳の健康にも役立つ可能性がある。既存の研究では、ルテインの摂取量が多い人は、高齢期における記憶力や処理能力の向上が示されている。

「ピスタチオを単なる健康的なスナック以上のものと見なしてくれることを願っています。この研究結果は、ピスタチオが長期的な目の健康をサポートするための簡単、かつ自然な方法である可能性を示しています。年齢を重ねるにつれて視力問題のリスクが増すため、特に重要です」

「個人的には、ピスタチオをそのまま殻から取り出して食べるのが好きです」と述べるスコット教授は、サラダ、ヨーグルト、自家製グラノーラ、マフィンのような焼き菓子にもおススメだという。

本研究はアリゾナ州、カリフォルニア州、ニューメキシコ州、テキサス州のピスタチオ栽培者、加工業者、業界パートナーを代表する非営利団体「アメリカン・ピスタチオ・グローワーズ」とアメリカ国立衛生研究所から研究助成を一部受けており、10月18日に『栄養学雑誌(The Journal of Nutrition)』に掲載されている。

【参考文献】
Scott, T. M., Ogunbodede, O., McKay, D., Johnson, E. J. (2024). Pistachio consumption increases Macular Pigment Optical Density in healthy adults: a randomized controlled trial, The Journal of Nutrition.

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中