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「男の沽券に関わる」直腸診はもういらない? 前立腺癌を調べる「憂鬱な検査」が姿を消しつつあるワケ

One Dying Rite of Passage

2024年10月25日(金)17時07分
ダン・コイス(スレート誌記者、作家)

スクリーニング検査の手法としての直腸診は絶滅寸前

だが今年の健康診断では、50歳近い私が以前から世話になっている主治医が直腸診の準備をする気配はなかった。私が少々言いよどみながら直腸診の話を振ると、彼女は代わりに血液検査をやることにしたと話してくれた。血液検査は精度100%ではないものの、癌ではないのに疑いがあると判定される「偽陽性」が出る可能性は少ないと言う。

私の主治医だけではなかった。血液検査の有用性に関する研究がいくつも出たおかげで、スクリーニング検査の手法としての直腸診は絶滅寸前らしいのだ(血液検査で要精密検査となった際の検査としてはよく使われている)。


「精度の高い血液検査が出てくるまでは、直腸診以外に前立腺癌のスクリーニング検査の方法はなかった」と語るのは、ロサンゼルスにあるシーダーズ・サイナイ医療センターの泌尿器腫瘍医、アダム・ワイナーだ。

直腸診では医師が患者の直腸に指を入れ、前立腺の周囲を後ろから押す。「小さい結節ができていないか、つまり周囲よりも固くて膨らんでいる場所がないか探すんだ」と、ワイナーは言う。

ワイナーによれば、医学生にとって直腸診を学ぶ日は「特別な日」だそうだ。患者役を演じる俳優相手に練習するのだが、検査の手技だけでなく、患者への言葉がけや検査をしやすい体勢を取らせる方法も学ぶと言う。

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