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「男の沽券に関わる」直腸診はもういらない? 前立腺癌を調べる「憂鬱な検査」が姿を消しつつあるワケ

One Dying Rite of Passage

2024年10月25日(金)17時07分
ダン・コイス(スレート誌記者、作家)

根っこには同性愛嫌悪があると考えられる

医師たちに言わせれば、長年やってきていることだから、直腸診は別に面倒でも気持ち悪くもない。それなのに「患者からは『こんな検査までしなければならないなんて大変ですね』とよく言われる」と、ロサンゼルスの医師ダニエル・ストーンは言う。そんなときは「耳や口の中を見るのと同じですよ」と答えるそうだ。

医師に対して冗談めかした同情を示すのは、男たちの不安の裏返しだ。ジョークで不安を和らげようとする患者も少なくない。「3人に1人くらいは『これが一番楽しみなんですよ』と言う」と、ストーンは語る。「ほぼ定番だ」


女性が産婦人科で受ける内診と比べたら大したことはないのに、直腸診は多くの男性から「男の沽券に関わる事態」として扱われてきた。私自身、年上の親族たちからそんなふうに聞かされてきたし、同性愛への軽い嫌悪感を交えて語られることも多かった。

どうも直腸診に対する不安の根っこには、自分でははっきりと意識していないような同性愛への嫌悪や恐怖感があるように思う。指を入れられて感じてしまったらどうしよう?というわけだ。

だが、直腸診が嫌なのは同性愛者だって同じだ。「ゲイの男性のほうが直腸診に抵抗がないとか、喜ぶなんてことはない」と、ストーンは言う。「ばかげた伝説だ。直腸診が好きな人なんていない」

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