最新記事
健康

疲労の対義語は? 「休養」ではありません...休養学の医学博士が教える「100%回復」するのに必要な要素とは

疲れの対義語は? 「休養」ではありません...休養学の医学博士が教える「100%回復」するのに必要な要素とは

PeopleImages.com - Yuri A -shutterstock-

<いくら休んでもなかなか疲れが取れないのはなぜなのか。ただ休むだけでは疲れは50%までしか回復しない...あえて軽い負荷を自分に与えて活力を高める方法>

長年休養について研究し、日本リカバリー協会の代表理事を務める片野秀樹さんは「『働き、疲れたら、休む』を繰り返すだけだと、休んでもフル充電に戻せないまま、活動に戻るようなもので、サステナブル(持続可能)になっていない。

次の活動に移る前に、休養のほかにもう1つ、疲労を打ち消すような要素を加えるといい」という――。

※本稿は、片野秀樹『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。


【「活動→疲労→休養」のサイクルから抜け出す】

私たちは十分な休養をとれているとはいえません。今の私たちの休養のとり方を図解してみると、「活動→疲労→休養」の3つをグルグル回っているようなものです(図表1)。

どういうことでしょうか。

私たちは職場や学校に行って、仕事や勉強などの活動をします(活動)。家で仕事をする人もいますし、家事や介護、育児をする人もいるでしょう。

これらの活動をすれば、当然、疲れます(疲労)。

疲れたら休みます(休養)。

そしてまた活動します。

このように普段私たちはこの3つの要素を繰り返しているのです。

newsweekjp_20240709021708.jpg片野秀樹『あなたを疲れから救う休養学』(東洋経済新報社)より

しかし私は、ここにもう1つの要素を加えたいと考えます。それは何でしょうか? 

皆さんも考えてみてください。

私はよく皆さんにこんなふうに質問します。

「疲労の対義語、反対語は何だと思いますか?」

すると、「休養ですか?」と答える人がほとんどです。

しかし、残念ながら休養ではありません。

【100%フル充電状態には戻れていない】

活動→疲労→休養のサイクルを、スマホの充電池にたとえてみましょう。活動し、疲労することで電池の残量は減ります。しかし、休養することで充電し、再び活動します。

休養で100%フル充電状態に戻れれば、これで何も問題ありません。しかし、もうおわかりかと思いますが、なにしろ日本人の8割が疲れているわけですから、実際にはそうなっていません。今はやりのいい方をすれば、サステナブル(持続可能)になっていません。

休んでもフル充電に戻せないまま、活動に戻っているのが実態です。私の感覚では、今の日本人は休養しても50%程度しか充電できていないイメージです。

そのまま活動して20%くらいまで減り、休養で50%にどうにか戻って、また活動して......。これでは、私たちの消耗は進むばかりで、疲れがどんどんたまっていってしまいます。

そこでわれわれが提唱しているのが、次の活動に移る前に、休養のほかにもう1つ、疲労を打ち消すような要素を加えることです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

バフェット氏、トランプ関税批判 日本の5大商社株「

ビジネス

バフェット氏、バークシャーCEOを年末に退任 後任

ビジネス

アングル:バフェット後も文化維持できるか、バークシ

ビジネス

OPECプラス、6月日量41.1万バレル増産で合意
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 8
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
  • 9
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中