最新記事
心理学

老後の知恵...「断れない人」「すぐ謝る人」が「雑に扱われない人」になるために絶対すべきこと

2024年6月19日(水)10時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

仕事であろうとプライベートであろうと、我慢には限界がある。だから無理な要求をされた時は自分だけ損しているような気持ちになるし、相手が恐縮するどころか悪びれない態度を取ってくれば、こみ上げた怒りがいつまでもくすぶることになる。

さらにそうしてたまった怒りは、本人も気づかぬうちに爆発するものだ。すると自分を押し殺してまで守ろうとした関係が、それによって一瞬のうちに崩れてしまう。

だから私は結婚する娘に、無理に「いい嫁」になろうとしないよう伝えた。娘の性格なら努めて義実家に気を遣うはずだけれど、そうすればあちらの期待も普通以上に高まって、そのうち娘の首が締まるだろうと思ったからだ。

その代わり娘には「気の置けない嫁」になることが、本人にとっても義実家にとってもいいことだと伝えた。

どんな関係においても、一方的に相手に合わせるのではなく、お互いに歩み寄ることが必要だ。それでこそ、どちらか一方だけが犠牲になるという悲劇を防げる。

また、お互いにできないことや嫌なことを知っておけば、気張らない関係を築けるものだ。

そういう意味で言うならば、長期的に良好な関係を持続するための力は「限りない親切と気遣い」ではなく、「たしかな線引き」によって生まれるのではないかと思う。

線引きをするということは、双方の間に越えられない壁を作り接触を断つということではない。自分にできることの限度を提示し、そこまでは最大限に気遣うけれど、それ以上は無理だと伝えることだ。

そうやってたしかな線引きをしておけば、相手の心を推し量って神経をすり減らしたり、能力以上の仕事まで抱えこんで苦しんだりしないで済む。

このように線引きをすることは、あなたを雑に扱おうとする人たちから、あなた自身を守るために必ずすべきことだ。それを身勝手だと非難する人たちもいるが、線引きをすることは決して身勝手なことではない。

身勝手とは、相手の不利益を考えず自分の利益を優先する態度のことだ。一方で限度を示すことは、自分の立場や能力ではここまでしかできないと相手に明示することである。

自分にはできないことや、自分には変えられない関係にすがることなく、自分の限度と自分自身を尊重してくれる大切な人たちに注力するということだ。ゆえに相手から雑に扱われた時は、線を引いて自分の身を守ることが先決である。

そうはいっても、人というのは往々にして線引きすることを躊躇しがちだ。相手から嫌われたり関係が崩れたりしそうな気がして不安で線を引くことができないのである。自尊感情が低い人ほどその傾向が強い。

もちろん、自分の気持ちを正直に明かせば一時的に周りの人を寂しい思いにさせることもあるだろう。しかし、あまり心配する必要はない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:高級ブランドがビットコイン決済、新たな富

ビジネス

米国株式市場=上昇、PCE前月比の伸び鈍化受け 週

ワールド

バーFRB副議長、トランプ氏による解任に備え助言求

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、PCEの伸び鈍化受け
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:アサド政権崩壊
特集:アサド政権崩壊
2024年12月24日号(12/17発売)

アサドの独裁国家があっけなく瓦解。新体制のシリアを世界は楽観視できるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 2
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 4
    【クイズ】世界で1番「汚い観光地」はどこ?
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達し…
  • 7
    【駐日ジョージア大使・特別寄稿】ジョージアでは今、…
  • 8
    国民を本当に救えるのは「補助金」でも「減税」でも…
  • 9
    クッキーモンスター、アウディで高速道路を疾走...ス…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──ゼレンスキー
  • 2
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いするかで「健康改善できる可能性」の研究
  • 3
    村上春樹、「ぼく」の自分探しの旅は終着点に到達した...ここまで来るのに40年以上の歳月を要した
  • 4
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 7
    ウクライナ「ATACMS」攻撃を受けたロシア国内の航空…
  • 8
    電池交換も充電も不要に? ダイヤモンドが拓く「数千…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 8
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
  • 9
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中