最新記事
健康

300年の時を超えて伝わる健康法の古典『養生訓』貝原益軒が教える病気の予防と健康長寿への道

2024年3月14日(木)19時17分
貝原 益軒(本草学者、儒学者) 奥田 昌子(内科医) *PRESIDENT Onlineからの転載
「これをやると必ず命を縮める」300年のロングセラー古典が断言する「それでもやってしまう」本当の理由

貝原益軒の肖像(画像=CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

<読み継がれるには理由がある。日本医学の古典が直言する 「これをやったら命を縮める」、悪いとわかっていて「やめられない真の理由」。健康のための数珠の言葉>

1713年に出版された健康書の古典『養生訓』の著者は医師の貝原益軒。

その冒頭では「健康こそ人生最高の幸福である」とあり、「幸福になるために人はどう生きるべきか」が解き明かされる。

内科医の奥田昌子さん編訳の最新版からそのエッセンスをお届けしよう――。

※本稿は、貝原益軒『病気にならない体をつくる 超訳 養生訓』(奥田昌子編訳・ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。


【知恵を得るには長生きせねばならぬ】

若いうちは衝動に駆られやすく、知恵も足りない。歴史を知らず、社会の変化にも慣れていない。勘違いして、あとになって悔やむことも多いし、物事の筋道も人生の楽しみもわかっていない。

長生きすれば毎日のように新たな発見があり、できなかったことができるようになる。

こうなって初めて学問や知識を深めることができるのだ。だからこそ養生に努め、何としても長生きしなければならない。養生の道を極めようと固く心に誓えば、寿命は延ばせる。

(巻第一 総論上)


【健康長寿は金儲けや立身出世よりたやすい】

金儲けや立身出世を夢見て人に媚びたり、神仏にすがったりする人は多い。一方、健康長寿を目指して養生に努める人はめったにいない。

金儲けや立身出世には他人の力が関わるから、自分だけでどうにかなるものではなく、頑張ってもたいていはうまくいかない。これに対して無病息災は自分の体のことなので、その気になれば実現しやすい。

手に入れにくいものを追い求め、手に入れやすいものに目を向けないのは愚かなことだ。そもそも、たとえ地位や名声を得ても、病気がちで短命だったら何にもならない。

(巻第一 総論上)


【欲に負けると長寿の道を踏みはずす】

体は本来、100年でも長持ちするものだ。それを、欲をいっとき我慢しなかったことで壊してしまうのは、あまりにももったいない。

末永く安泰で長生きしたいと思ったら欲求に流されてはならない。欲にまかせるか、欲をこらえるかが、長命と短命の分かれ道である。

(巻第二 総論下)

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中