最新記事

寝苦しい時もこれならすぐに寝付ける! 米軍兵士も120秒以内に96%が寝落ちした「漸進的筋弛緩法」など3つの快眠ワザ

2023年7月3日(月)18時08分

バクダッド近郊で休憩時間に仮眠を取る米軍兵士たち REUTERS/Goran Tomasevic


なかなか眠れないときはどうすればいいのか。公認心理師の柳川由美子さんは「あえて手足の力を入れてから抜く『漸進的筋弛緩法』が効果的だ。さらに、身体がゆるんで気持ちがほぐれてきたら、『気持ちが落ち着いてきた』『のんびり~』などと声に出して言うと、より効果が高くなる」という――。

※本稿は、柳川由美子『不安な自分を救う方法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

米軍が採用した効果抜群のリラックス法

Q.眠りたいのに、なかなか眠れないときは①......

不安や緊張状態にある方は、「リラックスしましょう」と言ってもなかなか上手にできない場合があります。

そんなときは、あえて力を入れてから抜く「漸進的筋弛緩(しかん)法」を行うことで、力の抜けたリラックス状態をつくりやすくなります。

漸進的筋弛緩法は、アメリカの医師であるエドモンド・ジェイコブソンによって開発されたリラクゼーションの技法です。米軍が採用したところ、厳しいストレス状況下にある兵士の96%が120秒以内に眠りに落ちたとか。それくらい効果抜群の方法です。

私のクリニックではこれを、椅子に座った状態で、次のように行います。

【漸進的筋弛緩法のやり方】
① 鼻から息を吸って止める。
② 息を止めている間(3~5秒)に、両腕をガッツポーズにして腕の力を入れる。
③ 口から息を吐きながら、腕の力を抜いてダラーンと落とす。このときどんな感じがするのか、力が抜けた腕の感覚に意識を向ける。
④ ①~③を3回繰り返す。

これが基本です。

実際に声に出して言うと、さらに効果的

この後、両脚→顔→肩→首の順に、同じように呼吸を合わせながら、力を入れて抜くことを繰り返します(各3回)。

・両脚......椅子に座った状態で膝を伸ばし、床と平行になるまで両脚を上げる。踵を直角にしてつま先をピンと伸ばしてから→ダラーンと両足を床に落とす。
・顔.........目をつぶって歯を噛み締めてから→力を抜いてポカーンと口を開く。
・肩.........グッと上げてから→ストーンと落とす。
・首.........首の重さを感じながらゆっくり回す。

ここまでやっていただくと、相談者さんたちは「眠くなった」「とても落ち着いた」と口々におっしゃいます。実際にあくびをなさる方もとっても多いです。

これだけでも十分にリラックスして心地よいだるさを感じられるようになりますが、私の場合は、夜寝る前に漸進的筋弛緩法を行った後、布団に入って、さらにリラクゼーションの呼吸法を行っています。

【リラクゼーションの呼吸法】
① 鼻から息を吸い込みます。空気の流れを意識して、その冷たさを感じます。
② 口から息を吐きます。吐く息のあたたかさを意識しながら、吐く息とともに全身の力が抜けていくのを意識します。のどを通る空気の感覚なども意識します。
③ ①~②を3回繰り返します。呼吸の最中は「何か思考が浮かんでも、それを追わない」と決めて、何か浮かびそうになったら常に呼吸に意識を戻します。

このままスーッと眠れるので、ぜひ試してみてください。

身体がゆるむと、心もゆるみます。

ですから、気持ちが張り詰めて眠れないときは、先に身体をゆるめてあげましょう。

身体がゆるんで、気持ちがほぐれてきたら、「気持ちが落ち着いてきた」「のんびり~」などと実際に声に出して言うと、さらに効果的です。

A.漸進的弛緩法で、手足の力を入れたり抜いたり。

農業
日本の技術で世界の干ばつ解決へ...ナガセヴィータの研究者に聞く「糖」の意外な活用法
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日経平均2カ月ぶり4万円、日米ハト派織り込みが押し

ワールド

EU、防衛費の共同調達が優先課題=次期議長国ポーラ

ワールド

豪11月失業率は3.9%、予想外の低下で8カ月ぶり

ワールド

北朝鮮メディア、韓国大統領に「国民の怒り高まる」 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    ノーベル文学賞受賞ハン・ガン「死者が生きている人を…
  • 7
    韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの…
  • 8
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 9
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 10
    統合失調症の姉と、姉を自宅に閉じ込めた両親の20年…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 4
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 5
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社…
  • 6
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 7
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 8
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 9
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 10
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中