最新記事

医療

高知県民は静岡県民の2倍入院費を払っている 「不必要な医療」が日本の医療費を高騰させる

2022年12月10日(土)11時20分
森田洋之(医師/南日本ヘルスリサーチラボ代表) *PRESIDENT Onlineからの転載
ベッドに横たわる男性と点滴装置

ponsulak - iStockphoto


日本の医療費を減らすにはどうすればいいのか。医師の森田洋之さんは「日本では病床を埋めるために患者が作られており、医療費高騰の原因となっている。しかも、医療の本質がゆがめられたことで、もはや健康な人の増加を喜べない体質になっている」という――。

※本稿は、森田洋之『日本の医療の不都合な真実』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

沖縄の胃ろう件数は全国平均の約2倍

図表1は、人口あたりの胃ろう造設術(胃ろうを造る手術)の件数を、都道府県別に「見える化」したものです。

図表1 都道府県別の胃ろう造設手術数(総数59,496件)

全国平均を100とすると、沖縄県が185で日本一です。

沖縄では全国平均の2倍近くも胃ろうが普及していることになります。

2位が鳥取県で174。3位は大分県で166。お隣の熊本県は85ですから、大分県とは約2倍の差があります。

それにしても、1年間に全国で胃ろう造設術が5万9000件もおこなわれているとはデータを見て驚きました。

都道府県によって医療に大きな差

都道府県別の、MRI撮影件数についてのデータもあります(図表2)。

図表2 都道府県別のMRI撮影件数(1.5テスラ以上の機器)

北海道が135で1位です。最も少ない岩手県は49で、北海道とは約2.8倍もの開きがあります。

これらのデータを見てわかるのは、日本は都道府県によって受ける医療にこれだけの違いがある、ということです。

同じ日本の中で、同じ医療システムの中でもこれだけ医療の需要量・供給量に差があるというのはどういうことなのでしょうか。

地域や都道府県によって2倍も3倍も病気や障害になりやすいなんていうことはありません。

なお、このデータは年齢構成を調整済みですので、高齢者の多さ・高齢化率の差も関係ありません。

これは、図表3でさらに顕著に、そして露骨に表現されています。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中