世界初、プラスチックやアルミごみがゼロ 「コーヒー玉」カプセル式コーヒーメーカーが登場
早くも、コーヒーボールが売り切れ状態に
コーヒーボールは目下8種類のテイストが選べる(スイスでは1箱4.60フラン=670円から)。コーヒーメーカーはブラックとホワイトの2色だ(169フラン=約2万4千円)。反響は非常に大きく、発売から1か月経った時点で、ミグロおよびCoffeeBのオンラインショップではいくつかのテイストのコーヒーボールが売り切れ、品切れになった店舗もある。筆者の近所のミグロスーパーでも、品数が薄いコーヒーボールが見られた。
ちなみに味の方は、スイスのバーゼルのコーヒーメーカー(中央アメリカのニカラグアの自社農園で豆を栽培し、バーゼルで焙煎し販売している)が試したところ、カプセル式コーヒーメーカーで作ったコーヒーに似ているそうだ。
なぜ、CoffeeBがこれほど注目を集めるのか。単に目新しい商品を試したいという人もいるだろう。しかし、エコ志向が益々高まるなか、カプセルを捨てなくて済む、カプセルをリサイクルに出す手間が省ける等の利点が歓迎され、ネスプレッソ以外のブランドも含め、カプセル式コーヒーメーカーを使ってきた人たちの一部がCoffeeBに切り替えているのではないだろうか。
廃棄される大量のコーヒーカプセル
世界のコーヒーカプセルは全体の約70%が捨てられており、年間廃棄量は約10万トン以上に上る(CoffeeBサイト)。スイスでは、現在、アルミニウム製コーヒーカプセルのリサイクル率は58%だという。同国の飲料用アルミ缶のリサイクル率が100%に近づいているのとは対照的だ。そんななか、アルミニウム製コーヒーカプセルのリサイクル率を高めようと、2020年にネスプレッソとデリカ社が「スイス・アルミニウム・カプセルのリサイクル」という団体を設立し、リサイクル率を75%に引き上げることを最初の目標としている。
スイスは、カプセル式コーヒーメーカーを使っている割合が60%と高い(以下、17%は全自動式、12%はモカポット、7%はドリップ式、4%はコーヒーを飲まない)。今後、新登場のCoffeeBの利用率が一気に高まり、カプセル式の利用率が下がっていくのか、その動向が気になるところだ。
[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com