あなたも脳の老化が始まっている!? 40代から始まる前頭葉委縮の初期兆候
前頭葉機能を維持できれば、高齢になってもクリエイティブで、意欲的で、新たな環境に適応しやすい。逆に前頭葉機能が衰えた人は、高学歴であったり、知的機能が高かった人でも、昔からの考え方が変えられなかったり、意欲が衰えたり、あるいは感情のコントロールが悪いために事件を起こしたりという形で、「バカ」になっていく。
だから、超高齢社会や長寿社会を乗り切るために、自分で前頭葉を鍛えていくしかないと私は考えている。私の仮説ではあるが、前頭葉を鍛える方法はなくはない。重要なのは意識して前頭葉を使うことだ。
「行きつけではない店に週2~3回」で前頭葉活性化
行きつけの店をやめて、行ったことのない店に行くことを週に2~3回はチャレンジする。帰り道を変えるだけでも、いろいろな風景が見えてくるだろう。料理するのであれば、使ったことのない食材にチャレンジしてみる。読んだことのない著者の本を読むのもいいだろう(ただ、難しい本を読んでも、思いのほか前頭葉は使われず側頭葉だけが活性化、また数独・ナンプレをやっても頭頂葉しか活性化しない、といった報告もある)。
とにかくルーティンを避けるのだ。
結果が読めないものも前頭葉を刺激する。だから投資や恋愛やギャンブルなどもいいのだが、身の破滅につながらない程度にしたい。そして、もう一つは「失敗を恐れず、何事も実験なのだ」という心持ちを忘れないことだ。
初めて入った店のラーメンがまずくても「実験が失敗だった。次の実験を組もう」と思うことだ。そうすれば人の知らない知識が持てるし、定年後も生活に飽きることがなくなる。
ほかの人が前頭葉を使っていないのだから、自分が使うことで、かなり高齢になっても賢い人でいられる。そう思って、あれこれと「実験」を重ねてほしい。
和田秀樹(わだ・ひでき)
精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院・浴風会病院の精神科医師を経て、現在、国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、川崎幸病院顧問、一橋大学・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。