最新記事
ヘルス

あなたも脳の老化が始まっている!? 40代から始まる前頭葉委縮の初期兆候

2022年10月21日(金)14時50分
和田秀樹(精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授) *PRESIDENT Onlineからの転載

前頭葉機能を維持できれば、高齢になってもクリエイティブで、意欲的で、新たな環境に適応しやすい。逆に前頭葉機能が衰えた人は、高学歴であったり、知的機能が高かった人でも、昔からの考え方が変えられなかったり、意欲が衰えたり、あるいは感情のコントロールが悪いために事件を起こしたりという形で、「バカ」になっていく。

だから、超高齢社会や長寿社会を乗り切るために、自分で前頭葉を鍛えていくしかないと私は考えている。私の仮説ではあるが、前頭葉を鍛える方法はなくはない。重要なのは意識して前頭葉を使うことだ。

「行きつけではない店に週2~3回」で前頭葉活性化

「40歳から一気に老化する人、しない人」前頭葉というのは、ルーティンでないことに反応する。

行きつけの店をやめて、行ったことのない店に行くことを週に2~3回はチャレンジする。帰り道を変えるだけでも、いろいろな風景が見えてくるだろう。料理するのであれば、使ったことのない食材にチャレンジしてみる。読んだことのない著者の本を読むのもいいだろう(ただ、難しい本を読んでも、思いのほか前頭葉は使われず側頭葉だけが活性化、また数独・ナンプレをやっても頭頂葉しか活性化しない、といった報告もある)。

とにかくルーティンを避けるのだ。

結果が読めないものも前頭葉を刺激する。だから投資や恋愛やギャンブルなどもいいのだが、身の破滅につながらない程度にしたい。そして、もう一つは「失敗を恐れず、何事も実験なのだ」という心持ちを忘れないことだ。

初めて入った店のラーメンがまずくても「実験が失敗だった。次の実験を組もう」と思うことだ。そうすれば人の知らない知識が持てるし、定年後も生活に飽きることがなくなる。

ほかの人が前頭葉を使っていないのだから、自分が使うことで、かなり高齢になっても賢い人でいられる。そう思って、あれこれと「実験」を重ねてほしい。

和田秀樹(わだ・ひでき)

精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院・浴風会病院の精神科医師を経て、現在、国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、川崎幸病院顧問、一橋大学・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中