最新記事
日本社会

あまりに危険 ! ノーヘル、右折OKとなった電動キックボードの車道走行は禁止すべき

2021年6月29日(火)18時35分
橋本愛喜(フリーライター) *PRESIDENT Onlineからの転載

「日本と真逆」韓国は規制強化に乗り出した

PRや報道では「海外ではすでに人気の乗り物」とされているが、アメリカのような広大で、自転車文化が根付いている国とは比較にならない。都市部においてもカーブや坂の多い日本と違い、道路が比較的道がまっすぐなうえ、ハイヒールやロングスカートなどでモビリティに乗っている人は皆無だ。

あえて比較をするならば、アメリカでは電動キックボードが出始めたころ、1年間に少なくとも1545件の関連事故が発生したというニュースは見逃すことができない。

道路環境や服装などが似ていてアメリカより比較しやすいのは、韓国だろう。

同国では日本よりも前に電動キックボードが公道を走っていたが、事故が多発。最近、満13歳以上・無免許で乗れていた電動キックボードを「16歳原付免許」以上かつ、ヘルメット装着を義務化するなど規制を強化したばかりだ。

悲惨な事故を起こさぬためルールの再考を

今回、「靴」「荷物の重さ制限」「小回り右折に対する危険性」に関して、事業者4社のうちの1社である「株式会社LUUP」に取材を申し入れたが、「どのような紹介記事になるのか」という確認連絡があったきり、期限内に回答が来ることも「回答が遅れるならば連絡をしてほしい」という筆者の申し入れに対する反応もなかった。

危険性を伴う乗り物を世に送り出す以上、説明する責任が生じるはず。悲惨な事故を起こさぬためにも、真摯に向き合い対応してほしかった。

時世柄、3密を避けられるモビリティの多様性を追求するのは決して悪いことではないし、移動がスマートになることは理想的なことだ。かくいう筆者も、近距離における時短移動という意味では、こうした乗り物は魅力を感じる。

しかし今の日本の道路には、新しいモビリティを受け入れる体制が全くといっていいほど整っていない。道路全体の安全を守れるルールの再考は必須だろう。

「"気軽"に利用できる」とする乗り物には、現状「ルールやマナーに対する意識」までもが軽視されやすい。利用者も利用者でない人も、こうした危険性を把握し、このモビリティによって事故に巻き込まれる人がひとりでも減ることを切に願っている。

橋本愛喜(はしもと・あいき)

フリーライター
元工場経営者、トラックドライバー、日本語教師。ブルーカラーの労働環境、災害対策、文化祭、ジェンダー、差別などに関する社会問題を中心に執筆や講演を行う。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明らかに【最新研究】
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    身元特定を避け「顔の近くに手榴弾を...」北朝鮮兵士…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 7
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中