TBS久保田智子が選択した「特別養子縁組」という幸せのカタチ
ONE AND ONLY FAMILY : A STORY OF ADOPTION
確かに特別養子縁組では、血のつながりのない者同士が、入籍を経て家族になる。子供に出会うまでの道のりは、誰かの仲介によってお見合い結婚をするプロセスに似ていると言えなくもない。
特別養子縁組をして親になる方法は、主に2つある。まず、乳児院や児童養護施設にいる子供を、自分が住んでいる自治体の児童相談所を通して迎える方法。2つ目に、生みの親から直接子供を託された民間団体によって仲介される方法だ。
2つの大きな違いは、1つには民間団体は予期せぬ妊娠等で育てられない親からの相談窓口を持っており、新生児の仲介、いわゆる「赤ちゃん縁組」を中心に行っていることだろう。厚労省の17 年の資料によれば、調査対象とした民間団体20カ所の特別養子縁組の成立事案では「1歳以下」が88%を占めたのに対し、209カ所の児童相談所で成立した「1歳以下」の事案は全体の48.5%と半数に満たない。
児童相談所による手続きは各所によってさまざまだが、民間団体と違って、新生児であってもほとんどの場合、一度は乳児院に入る。その背景に、数カ月間は乳児院で預かることで新生児の健康状態を観察したり、障害の有無を確認したりするほか、可能な限り生んだ親が育てるべきとの観点から、母性の目覚めを待とうという意図があるともいわれる。
一方で子供の立場からすれば、生後の数カ月間という、継続的に抱っこされることで養育者に対する愛着を形成するといわれる時期を乳児院で過ごすことになる。
費用面での違いを見ると、児童相談所を介する場合は養親の出費は基本的にはない。他方、民間団体を通す場合は養親側が出産費用(生みの親が出産育児一時金制度を利用できる場合もある)に加えて、斡旋料や研修等にかかる諸経費を支払う。
今年11月の時点で、都道府県知事から許可を受けた民間団体等は全国に22あり、各団体によって養親候補の要件や、かかる費用、子供を受託するまでの研修を含めたプロセスや、養子縁組をした後のフォローの内容等は異なる。各団体がホームページでこうした情報をある程度公開しているため、養親を希望する人はまずはネットで「団体選び」から始めることになる。
「平本さんたちは、海外にいたせいかな。とってもライトな感覚で説明会にいらした」と、鈴木久美子(53)は2年前の12月を振り返る。千葉県の社会福祉法人「生活クラブ風の村」の特別養子縁組斡旋事業部「ベビースマイル」で19年4月から相談員として働く鈴木は、前職の民間団体に勤めていた際にハナちゃんと平本夫妻を結び付けた立役者だ。
日本に帰国する前にインターネットで民間団体を選び、さまざまな情報を登録していた久保田と平本は、18年12月に登録団体の説明会に参加するという一歩を踏み出した。