日本の「養殖」ダイヤモンドに世界が注目する理由
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利点はそれだけではない。天然ダイヤモンドであれば、良質な1グラムのダイヤモンドを得るために1トン以上もの土砂を掘り起こしたりするが、そのような大規模な採掘を必要とせず、当然、環境破壊も起こさない。ましてや「ブラッド・ダイヤモンド」とも呼ばれる、アフリカに見られる凄惨な紛争など起こりようがないのである。
また、何より消費者にとって魅力的なのが価格だ。採掘にかかる膨大なコストを必要とせず、生成期間も数週間~数年ということから、市場に出回る際の価格は、なんと天然ダイヤモンドの半額程度と推定される。
「つまり、0.5カラットの天然ダイヤモンドと同様の価格で、1カラットのラボグロウンダイヤモンドを購入できるということ。もちろん、お客様の中には『やはり天然がいい』という天然志向の方も少なからずいるはず。今後は双方が共存関係となり、その選択は市場の判断ということになるでしょうね」(安部氏)。
なぜブロックチェーンを使うのか
市場もにわかに活気づいている。モルガン・スタンレーは「ラボグロウンダイヤモンドが天然ダイヤモンド市場に食い込む」とのレポートを発表。市場規模も2016年の150万ドルから2020年には10億5000万ドルへと700倍もの急拡大を予測している。
さらに、世界の天然ダイヤモンド市場の約30%を握る最大手のデビアスがこの5月、これまでの態度を翻し、ラボグロウンダイヤモンドをはじめとする合成ダイヤモンドの取り扱いを専門とする新会社の設立を発表した。業界はいま「養殖」ダイヤモンドの話題でもちきりでなのある。
そんな中、ピュアダイヤモンドラボ社の手掛ける国産ラボグロウンダイヤモンドは今秋より日本で流通が始まるが、ユニークなのが、ブロックチェーン技術を採り入れていることだ。
ブロックチェーンとは、簡潔にいえば、ビットコインなど仮想通貨の中核となる取引データーの管理技術のことで、取引履歴が改竄できない高い安全性と、履歴の追跡性に優れる側面を持っている。
なお、今年初頭に起こった仮想通貨NEMの 580億円に上る巨額流出事件は、電子上の財布(ウォレット)からの不正出金であり、ブロックチェーンの安全性と信頼性を脅かすものではないことは明記しておきたい。
国産ラボグロウンダイヤモンドの流通にあたり、ピュアダイヤモンドラボ社は「ピュアダイヤモンドブロックチェーン」というシステムを開発。現在、特許を出願中という。安部氏にブロックチェーン導入の理由を聞いた。