日本発の株価大暴落は実はこれから!? バブル崩壊を見抜くための「3つの軸」

2024年8月30日(金)12時37分
小幡 績(慶応義塾大学大学院教授)*東洋経済オンラインからの転載

(2)買い手は誰か

これは、バブルに群がっているのが、個人か企業か。素人かプロか。業種は事業セクターか金融セクターか。国内か海外か。投資家とか投機家というよりも買い手というのが正確だ。

買いの意図はどうでもいい。さらに、その買いの行動が合理的であろうが非合理的であろうかは関係ない。重要なことは、ただ1つ。キャピタルゲインを目的とした買いかどうか、ということだ。

ここで、株を買って、子孫代々末裔まで永久に保有し配当で暮らせ、と家訓に残したような場合は、キャピタルゲインは念頭にないことになる。ただ、現在、このような理由で上場株式を買う人はいないし、不動産投資でも、自宅以外はそうではないし、いまや自宅も相続人はだいたい売り払う。株主優待狙いの投資などは、株主優待でレストランチェーンの株などが割高になることはあっても、それはバブルという水準にはならない。

よって、バブルの場合、重要なのは長期保有か短期売買かということだが、どんなに長期保有といっても、上場株全体が暴落するようなときは、インデックス投資でも機関投資家などはむしろ売らざるをえなくなる。プログラム売買が影響力のある昨今では、長期保有を意図しても、ほとんどの保有者が暴落トレンドができれば売りに回ってしまう。だから、保有期間も結局関係ない。

【損失を被るのは誰か】

関係があるのは、買い手の属性であり、損失を被るのが誰かということで、それによって暴落の伝染、伝播経路が異なる。国境をまたぐかどうか。資産の種類(株式から債券あるいは商品、不動産、貴金属、暗号資産、コレクター商品などなど)がどこまで広がるか。

何よりも、実体経済にどのように影響するか。もし個人投資家が幅広く儲かっていれば、高額消費は一気に冷え込む。ここ数年の中国が典型例だ。

また、アメリカのサブプライムバブルのときは、初めて住宅ローンを組んだ低所得者層までが、住宅価格の上昇で借入可能額が拡大したことを利用して大型テレビや高級自動車を買っていたから、そうした消費が一気に冷え込んだ。その結果、サブプライムバブルとはあまり関係がないと思われた、日本の自動車産業(とくにレクサスなどの高級車)は売れ行きが大きく落ち込んだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中