【大河「べらぼう」5分解説①】老中・田沼意次を襲った天災と米価の急落
天災・飢饉が相次いだ田沼意次の時代
その後、幕府の財政改革を担った田沼意次は、米だけでなく、商業経済から新たな税収を得る可能性を模索し、商業の活性化を画策する。
株仲間を積極的に認め、特定商品の販売独占権を保証して、その見返りに税を徴収するなど、さまざまな施策を行ったのである。積極的な財政策に待ったをかけたのが、天明期に人々を襲った天災・飢饉であった。
天明の飢饉では、人肉食も起きたという。飢饉の様子を描いたもの。
1783(天明3)年の浅間山の噴火、東北地方の冷害が重なり、「天明の飢饉」と呼ばれる未曾有の大惨事となったのである。
意次の政策は、米に依存する幕府の財政を商業に重点を置くことで乗り越えようとするものであったが、その反面、農村への救済策が不十分となり、多くの反発を招くこととなった。
影響は都市部にも及び、凶作で米の価格が高騰、慢性的な米不足に悩まされた。米を買い占める商人に対して、庶民の不満が爆発し、天明7年には米穀商の屋敷へ、民衆による打ちこわしが起きる。こうして田沼政権への不満が高まり、隠居・謹慎が命じられ、田沼時代は終焉を迎えたのであった。
天明の飢饉によって、米の価格が高騰し、天明の打ちこわしが起こった。その様を風刺し描かれた黄表紙。
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