女性F1ドライバーに道を開く...「金のかかる」自動車レースで女性が成功するための「意外な方法」
Driven To Succeed

ジャガーTCSレーシングのFE(フォーミュラ電動カーレース)テストに参加したチャドウィック JAGUAR TCS RACING
<いまだ男性中心のカーレースの世界で、ジェイミー・チャドウィックはロールモデルになる使命に挑む>
11歳でカートのレースに参戦してから15年。ジェイミー・チャドウィック(Jamie Chadwick)は数々の勝利を積み重ね、今や女性のレースドライバーとして世界の頂点に立つ。その一方で、現在はいない「女性のF1ドライバー」のための道を開くべく、後進の指導・育成にも力を入れている。
「モータースポーツの世界で成功を勝ち取るのは難しい。トップレベルまで行ける人はほんの一握り。でも参加する人が増えて底辺が広がれば、特に女性の場合、上まで行ける確率がもっと高まる」。
チャドウィックは本誌にそう語った(ちなみに彼女はオートバイの耐久レースで有名な英王室領マン島の出身だ)。
カートのレースを2年で「卒業」したチャドウィックは、16歳で運転免許を取得するやスポーツカーのGTレースに参戦。
アストンマーチン(Aston Martin)のファクトリードライバーであるロス・ガン(Ross Gunn)と組んで名車V8ヴァンテージ(V8 Vantage)のハンドルを握り、2015年に優勝2回、表彰台5回の快挙を達成。
さらにシルバーストン24時間耐久レースでは、イギリスGT選手権で女性初かつ最年少での優勝を果たした。17年にシングルシーターのフォーミュラカー・レースに転向し、翌年にはイギリスF3選手権で女性として初めて優勝。
19~22年には女性専科のフォーミュラカー・レースであるWシリーズに参加し、3年連続で総合チャンピオンに輝いた(20年はコロナ禍で中止)。その後アメリカに舞台を移し、インディNXTシリーズにも挑戦した。
今年は再び耐久レースに戻り、韓国系のジェネシス・マグマ・レーシングと仏IDECスポーツの連携チームでヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(LMP2クラス)への参戦が決まっている。