20分ごとの急展開に「爆笑」する人も?...映画『教皇選挙』は「B級サスペンス」で「娯楽ミステリー」
A Surprising Papal Thriller
まず、次々と露呈する不祥事の大半がセックス絡みではない点に驚かされる。枢機卿たちが手を染めるのは金と権力の不正。プロットのカギとなる「聖職売買」は文字どおり、聖職者の地位や特権を売り物にする不正行為を指す。
枢機卿が数人で階段に集まり、密談を交わす場面がある。彼らは児童への性的虐待を隠蔽したカトリック教会の長い歴史を嘆くが、具体的な話はしない。隠蔽工作がストーリーに直接絡むことはない。
現実世界を震撼させたスキャンダルに深入りしなかったのは理解できる。『教皇選挙』は枢機卿たちがチェスの駒のように動かされる娯楽ミステリーだ。無数の子供が犠牲になったおぞましい事件を安易に持ち込めば、軽々しく残酷な印象になるだろう。
評論家のニック・シャーガー(Nick Schager)は、教皇に選ばれた人物にまつわる最後のどんでん返しを「爆笑もの」と揶揄した。だが少なくとも私が行った試写会の観客は、そうは捉えなかったようだ。そこかしこで笑いは起きたが、嘲笑ではなく「そうきたか!」という驚きの笑いに聞こえた。
ラストに託された希望
意外な秘密が明かされるのは幕切れのわずか数分前で、観客に考える余裕を与えない。
その秘密とは何なのか。
紆余曲折の末、真の信仰を持った人物が教会を導くこととなり、ローレンスは満足する。そして次期教皇の身辺調査を行い、ある謎について問いただす。