オスカー5冠の快挙!『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督が語った「ユーモアとセックスと語られていない物語」
『フロリダ・プロジェクト』もそうだが、『タンジェリン』はラストが素晴らしく印象的だ。『アノーラ』もさすが、という感じだが......。
「結末は、脚本を書く前から決めている。何カ月もかけて書くのだから、ぴったりの結末を考えておかないとならない。映画のストーリーテリングで、最も重要な部分だと考えているからね。
あなたが『タンジェリン』を挙げたことは面白いと思う。僕の映画の中で、『タンジェリン』と『アノーラ』は結末のスタイルがとても似ている。
今回、『タンジェリン』から多くのものを借りた。ディーゼルエンジンの音、車のワイパーの音からエンドクレジットへと導くシーンなど......どちらも音楽は使われていなくて、会話もほとんどない2人が心を通わせる。そういう意味で、この2つは対になる作品だ」
これだけの話題作ですっかり有名になったベイカーだが、今後もインディペンデント映画を撮り続けると話す。
「全ての独立系映画製作者については言えないが、少なくとも僕の場合、これまでほぼ完全な自主性を持って映画を作ってきた。
自分がやりたいことを自由にやることができたということだ。テーマ、キャスティング、編集の最終決定権などについて、スタジオとの仕事では得られない自由がある。
テスト上映があったり、ノート(上層部からの要求など)が来たりなど、スタジオとの仕事には多くの制約がある。もちろん全てがそうではなく、ドゥニ・ビルヌーブ監督がスタジオシステムを経験したときの話を聞いたら、彼は望むものを得られてとてもハッピーだったという。
でも僕はそんな冒険をするつもりはない。インディペンデントで作品を作り続けていきたいね」