オスカー5冠の快挙!『ANORA アノーラ』のショーン・ベイカー監督が語った「ユーモアとセックスと語られていない物語」

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<インディペンデント作品を作り続けてきたベイカー監督が大切にしているもの、『アノーラ』と『タンジェリン』の類似点、セックスという要素、アノーラ役のマイキーについて――>
3月2日発表の米アカデミー賞で、最多5冠に輝いた映画『ANORA アノーラ』(日本公開中)。ショーン・ベイカー監督は作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞の4冠となり、1作品で4部門を制した史上初の人となった。
昨年のカンヌ国際映画祭でも最高賞のパルムドールを受賞するなど、各国映画祭や賞レースで注目を集め続けてきた作品だ。
物語の舞台は米ニューヨーク。ストリップクラブで働く「アニー」ことアノーラは客だったロシアの富豪の息子イヴァンと意気投合し、彼が帰国するまでの1週間、1万5000ドルで契約彼女になる。プライベートジェットで遊びに行ったラスベガスで勢いのまま結婚式を挙げるが......。
セクシャルなシーン満載でどんちゃん騒ぎに酔うような「シンデレラストーリー」が終わると、映画の雰囲気はすっかり変わってブラックコメディに。アニーの怒りや恐怖、必死さは本物だが、怒涛の展開にとにかく笑わずにいられない。
インディペンデント作品を作り続けてきた54歳のベイカーはiPhoneで全編撮影した『タンジェリン』(2015年)で注目を浴び、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(17年)は各国で絶賛され映画祭でも多数受賞。スタイルもテーマも彼らしさを貫いてきた結果が『アノーラ』の快挙につながったのだろう。
オスカー授賞式後に来日したベイカーに本誌・大橋希が話を聞いた。