NewJeansはNewJeansじゃなくなる? 5人と生みの親ミン・ヒジンの今後の選択肢を予想
契約解除の違約金は約700億円に
こう考えるとNewJeansのメンバーたちは、ADORが自分たちと交わした専属契約について重大な違反事項を改善しなかったとして、契約解除を求めて訴訟を起こす道しか残されていない状況だ。
ここで重要なポイントは
1)NewJeansの「専属契約に関してADORが重大な違反をした」という訴えを裁判所が認めるか
2)NewJeansメンバーが今後もNewJeansとして活動できるか
という点に絞られる。
ここで、韓国の音楽業界関係者が参考事例として口を揃えてあげるのが「FIFTY FIFTY」だ。奇しくもNewJeansと同じ2022年にデビューした4人組ガールズグループFIFTY FIFTYは、2023年2月にリリースした「Cupid」がブレイク。ビルボードの「ワールドデジタルソングセールス」で8位を記録したほか、大手以外の事務所のK-POPアーティストとしては初めてHOT 100にもチャートインするなど、一躍注目される存在になった。
ところが、所属事務所ATTRAKTが音楽制作の実務を依頼していた会社がメンバーとともに独立を図り、専属契約解除を求める訴訟を起こしたものの敗訴。メンバーのうち一人だけが和解して所属事務所に復帰したものの、他のメンバーは契約を解除され、事務所から損害賠償請求の訴訟を起こされた。現在FIFTY FIFTYは復帰したメンバーに新加入したメンバーで再編成して活動を再開し、一方独立を目指したメンバー3人は新しい事務所と契約して新グループ結成を発表している。
このFIFTY FIFTYの事例を念頭にNewJeansの契約解除要求が認められるかどうかを考えると、韓国の音楽業界関係者の多くはかなりハードルが高いという意見で一致しているという。もちろん、HYBE傘下の別レーベルから、まったく同じようなコンセプトのガールズグループILLITがデビューしたことや、ILLITのマネージャーによるハニに対するいじめ問題など、NewJeansへのサポートが不十分だった点はあると認定される可能性もあるが、それが契約違反といえるほどのものかというと、難しいと言わざるを得ない。
その場合、メンバーたちは専属契約効力停止仮処分申請を裁判所に願い出るとみられている。ただ契約解除自体は認められるとしても、ADORへの違約金の支払が命じられる可能性が高い。その金額は一人当たり1240億ウォン、日本円で136億円にのぼり、グループ5人全員では6200億ウォン、約700億円という巨額になるという。
NewJeansメンバーたちに残された選択肢は?
果たして、今後のNewJeansメンバーたちにどんな選択肢が残されているのだろうか? 大きく分けて以下の2つのパターンが考えられる。
A)全員が契約解除の違約金を払ってADORを離れミン・ヒジンの新レーベルへ移籍、新グループで再デビュー
B)一部メンバーがADORに残りNewJeansとして活動、残るメンバーはミン・ヒジンの新レーベルへ
ポイントはメンバー5人の結束が維持されるかどうかだ。本人たちの意思も重要だが、未成年者もいるため親の意向も重要なポイントとなる。これまでは5人とその母親たちもミン・ヒジンを支持し、HYBEを批判してきたが、ADORへの違約金の支払いが巨額なため、5人全員の結束が維持できるかどうかは不透明だ。また、その点をHYBE側が突いて、メンバー同士の切り崩しにかかることも十分に予想される。
一部メンバーが残留することになれば、B)のような形でADORは残留メンバー+新加入メンバーで第2期NewJeansを再始動させ、ADORを契約解除したメンバーはミン・ヒジンと合流して新グループを結成、そちらで再デビューを果たすという、まさにFIFTY FIFTYと同じ道を歩むことになりそうだ。