「ハリウッドに未来はあるか?」映画館の収益が落ち、AIの台頭や多様性に頭を悩ませる...映画の聖地の将来予測
What’s Ahead for Hollywood?
昨年行われた脚本家組合と俳優組合のストでも、動画配信サービスは主要な争点の1つだった。動画配信の台頭によって俳優や脚本家に対する収益の分配に混乱が生じていたからだ。
長かったストの後に新たな労使協定が結ばれたが、結果としてコストが上がったため、動画配信を手がける企業は以前よりもプロジェクトの選択に慎重になった。これは採用される映画やドラマの本数が減り、配信が始まっても視聴回数が伸びなければすぐに打ち切られるリスクが高まったことを意味する。
脚本家・俳優のニール・チェイスによれば「今後は巨費を投じた大型作品や人気作のリメークものよりも、オリジナルのコンテンツに力を入れ、確実にコアの観客をつかめる作品が重視される」という。
いい例が昨年秋に公開された『ゴジラ-1.0』だ。1200万ドルに満たない予算で製作されたのに、全世界で興行収入1億1500万ドル超の大ヒット作となった。
「あの作品はゴジラ伝説をユニークな視点で捉え直し、しっかりした脚本と共感できるキャラクター、素晴らしいアクションで勝負した」と、チェイスは言う。「ゴジラのファンが求めるものを残さず提供していた。ぜひハリウッドもそこを学んでほしい」
映画館は生き残れるか
その昔、映画の黄金時代には話題の新作を見られる唯一の場所が映画館だった。だが新型コロナウイルスの感染爆発で、状況は一変した。
ロックダウンの影響で映画館は休業を余儀なくされ、20年には北米の映画館の総興行収入が23億ドルにまで激減した(前年実績は114億ドルだった)。不要不急の外出を禁じられた人たちは家から出ず、配信サービスで映画を見て満足するようになった。
あれから4年。今や映画が劇場公開の直後にストリーミング配信されるのは常識となり、劇場公開だけの期間はどんどん短くなっている。
だがフォートは、映画館がかつての栄光を取り戻すことは可能だと信じている。
映画館に客を呼び戻すには何が必要か。まずは施設内のサービス向上、よそでは見られないコンテンツの確保、そして家庭では得られない鑑賞体験の提供が重要だとフォートは言う。
「コロナ以前に戻るのは無理でも、映画館での鑑賞体験に価値を感じるファンは今も確実にいる」からだ。
そのとおりかもしれない。北米における映画館の興行収入は昨年、90億ドルを上回った。コロナ以前の水準まで、あと一息だ。
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