最新記事
ハリウッド

「ハリウッドに未来はあるか?」映画館の収益が落ち、AIの台頭や多様性に頭を悩ませる...映画の聖地の将来予測

What’s Ahead for Hollywood?

2024年7月12日(金)17時27分
ソフィー・ロイド(ポップカルチャー&エンタメ担当)
「ハリウッドに未来はあるか?」映画館の収益が落ち、AIの台頭や多様性に頭を悩ませる...映画の聖地の将来予測

4kclips -shutterstock-

<新型コロナに、脚本家と俳優のスト、AIの脅威に動画配信サービスの独り勝ち...果たして映画館そしてハリウッドの栄華は10年後も続いているだろうか>

映画の都ハリウッドにも受難の時代が来た。4年前には新型コロナウイルスの感染爆発があり、昨年には脚本家と俳優のストがあって、今はAI(人工知能)の脅威もある。果たしてハリウッドの栄華は10年後も続いているだろうか。

ディズニーやパラマウント、ワーナーといったハリウッドの大手は昨年、軒並み赤字を計上した。大ヒットを狙った作品の多くは期待外れで、映画館には以前のような客足が戻っていない。


製作現場にも4年前ほどの勢いがない。映画大手への投資家の信頼は揺らいでいる。ハリウッドが転換期を迎えていることは明らかだ。10年後のハリウッドがどうなっているかを占ってみる。

◇ ◇ ◇


AIでハリウッドはどう変わるか

エンターテインメント業界誌のバラエティーによれば、いまハリウッドは「AI危機」に直面している。俳優も監督も脚本家も裏方のスタッフも、悪くすればAIに取って代わられる恐れがあるという。

今年1月にエンタメ業界の有力者300人を対象に行われた調査では、回答者の4分の3がAIの台頭による「ネガティブな影響」を懸念していた。2026年までにはエンタメ業界で働く人の20%(約20万人)の雇用が脅かされるとの試算もある。

しかし、単純にAIを悪と決め付けるのは間違いだ。3人の黒人アーティストが立ち上げた独立系製作会社「スターフューリー」のガイ・フォートに言わせるなら、「映画やドラマの製作にAIが関与すれば新しい未来が開ける。クリエーティブな可能性が広がる一方でコストを削減でき、視聴者の好みに合わせたコンテンツを生み出せる」かもしれない。

AIの可能性とコスト削減効果を実感しているのはフォートだけではない。俳優で国内最大級の撮影所オーナーでもあるタイラー・ペリーは先頃、動画生成AIソフトの「Sora」と出合い、スタジオの拡張計画を中止した。

オープンAIが開発したSoraを使えば、テキストで指示を出すだけで望みどおりの映像を作り出せる。「もうロケに行かなくても、わざわざセットを組まなくても、オフィスにいてコンピューターに指示するだけで映像ができる。驚きだね」。ペリーは業界誌にそう語っている。
可能性は無限大に見えるSoraだが、まだ開発途上で映像は不完全だ。例えば手足の位置がずれていたり、家具が浮いていたりする。体の複雑な動きを表現するのも、まだ苦手だ。

いずれにせよAIは今後、製作面だけでなく配給やマーケティングなど、さまざまな分野に影響を与えるだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル1年超ぶり高値、ビットコイン10

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 取引禁止

ビジネス

米国株式市場=上昇、ダウ・S&P1週間ぶり高値 エ

ワールド

米中国防相会談、米の責任で実現せず 台湾政策が要因
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中