最新記事
音楽

カントリー音楽が絶賛バズり中...大復活のカギはビヨンセ、「踊ってみた」、コロナ禍、Z世代

Country Has Won Our Achy Breaky Hearts

2024年7月11日(木)16時33分
ビリー・シュワブ・ダン(ポップカルチャー担当)
ビヨンセ

ビヨンセは黒人女性アーティストとして初めてカントリー曲で全米1位を獲得した JAMES DEVANEYーGC IMAGES/GETTY IMAGES

<今年2月、ビヨンセが黒人女性で初めてビルボードのカントリー部門で1位を獲得。実は黒人ルーツのカントリーミュージックがヒットチャートとSNSを席巻──>

カントリー音楽が大復活を遂げている。動画投稿アプリのTikTok(ティックトック)でバズる楽曲が立て続けに登場するなど、カントリーの人気は高まるばかりだ。

ビヨンセが2月にリリースしたシングル「テキサス・ホールデム」は、ビルボード・チャートのカントリー部門で初登場1位を獲得。黒人女性アーティストがカントリーチャートの1位に輝いたのは初めてだ。3月29日にはこの曲を含むアルバムも発売された。



ラナ・デル・レイも、9月に発売予定のアルバム『ラッソ』でカントリーに挑戦することを発表。「音楽業界はカントリー化している」と語っている。3月15日には、カントリーミュージシャンのケイシー・マスグレイブスが待望のアルバム『ディーパー・ウェル』を発売した。

ほかにもヒットチャートには、ノア・カーン、レイニー・ウィルソン、ザック・ブライアンなど、新しいカントリーやフォークのアーティストが名を連ねている。

全ての人のための音楽

ルミネート社のデータによると、カントリー音楽は昨年、アメリカの音楽配信サービスで最も成長したジャンルだ。オンデマンドの楽曲再生回数は前年から23.7%増えて、200億回を突破した。

カントリーが音楽界を席巻しつつあると言っても過言ではない。しかし、カントリーは最近生まれたジャンルではないし、これまで批判的な見方をされることも多かった。

カントリー音楽は、アフリカとヨーロッパの2つの音楽的伝統の流れをくむが、今日はおおむね白人の音楽と見なされることが多い。これは、1920年代に音楽業界が人種別に音楽ジャンルを分けて以来の傾向だ。

シンガーソングライターのカイア・ケイターによれば、カントリーは長く白人以外を排除してきたが、ビヨンセのようなミュージシャンがその状況を変えつつある。黒人ミュージシャンが多様な音楽ファンを引き付け始めたことが最近のカントリー人気の背景にあると、ケイターは言う。

「歴史的にカントリーは白人のジャンルだった。白人以外を排除してきたと言ってもいい。そうした状況はカントリーの歴史に真っ向から反する。あまり知られていないけれど、カントリーは黒人の間で始まった音楽だから」

「カントリーは全ての人のための音楽だと気付く人が増え始めた。黒人ミュージシャンは、『なぜ(白人の)音楽をやるのか』ではなく、『このジャンルにおける黒人の歴史と、多様性のある未来について聞かせてほしい』と言われるようになった」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中