カントリー音楽が絶賛バズり中...大復活のカギはビヨンセ、「踊ってみた」、コロナ禍、Z世代
Country Has Won Our Achy Breaky Hearts
トランスジェンダーであることを公表しているカントリーミュージシャンのライアン・カッサータも、そうした変化を指摘する。「クィアやトランスジェンダー、全てのマイノリティー」のためにカントリーのジャンルを取り戻そうとしているミュージシャンたちがいると、カッサータは語る。
「カントリーの未来は、クィアにある。トランスにある。黒人にある。カントリーの未来は、マイノリティーと抑圧されている人々のものだ。カントリーの歴史は、そうした要素と切り離すことができない。アミリ・バラカの古典的著作『ブルース・ピープル』(邦訳・平凡社ライブラリー)も述べているように、アメリカのあらゆるポピュラー音楽のルーツは、アフリカからやって来た人たちにある」
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カッサータいわく、カントリーの世界で人種差別、同性愛者差別、トランス差別が蔓延してきたのは、このジャンルを牛耳る「白人、異性愛、シスジェンダーの男性たち」の政治力が原因だ。
「このジャンルの音楽を作り、抑圧と偏見と憎悪を批判することは、とても大きな意味を持つ。抑圧者たちが自分たちのものだと誤って決め付けてきたジャンルを奪い返そうという試みだからだ」と、カッサータは言う。
「私たちの声を届ける必要がある。非常に人気の高い音楽ジャンルであるカントリーは、私たちの経験を伝えるための強力な手だてになる」
音楽団体アカデミー・オブ・カントリーミュージックのデーモン・ホワイトサイドCEOは、カントリー大復活の理由について持論を示す。
「今も昔もカントリーが愛されるのは、一流の楽曲とアーティストの音楽性、そして素直に共感できる歌詞のおかげだ」とホワイトサイドは言う。「カントリーが長年語り続けてきた素晴らしいストーリーが、幅広いオーディエンスの共感を呼んでいる」
さらにホワイトサイドは「超大物スターやソングライターがジャンルの壁を打ち破り、新鮮でダイナミックな楽曲を発表するようになったことで、カントリーはこれまでになく幅広い大衆に受け入れられている」と評価する。「伝統的な境界線は限りなく曖昧になった」