カントリー音楽が絶賛バズり中...大復活のカギはビヨンセ、「踊ってみた」、コロナ禍、Z世代
Country Has Won Our Achy Breaky Hearts
この点に気付いたアーティストの1人が、ブランコ・ブラウンだ。2019年のデビュー曲「ザ・ギット・アップ」は、「ツーステップ、次はカウボーイブーギー」というように、ダンスの振り付けが歌詞の大部分を占める。
【動画】ダンスの振付が歌詞になっているブランコ・ブラウンの「ザ・ギット・アップ」MV
ブラウンは公式ミュージックビデオ(MV)でも踊っており、レイニー・ウィルソンとペアで踊るダンスチャレンジMVも発表。これを機に、友達同士や学校や職場でのダンスチャレンジが爆発的に広がり、TikTokには13万件もの動画が投稿された。曲自体も、スポティファイでの再生回数が3億3000万回を超え、全米チャートで14位まで上昇する快挙となった。
「私の場合、カントリーに対する強い愛情が、トレーラートラップ(ヒップホップとカントリーをミックスした音楽スタイル)を始めるきっかけになった」とブラウンは語る。「私の曲をきっかけに、このジャンルに興味を持つ人が増えたことは最高の気分だ」
カントリーとそれ以外のジャンルを結ぶ「橋を渡る人が増えて、隔たりそのものがなくなり、誰もが古き良きカントリー音楽の心地よさを楽しむようになってきた」と、ブラウンは言う。そして新曲のタイトルに引っかけて、「さあ、カントリーに太陽の光を浴びせよう!」と笑った。
コロナ禍が人気の一因?
音楽業界との関わりが長いPR会社ブレーキング・クリエーティブズ・エージェンシーのダイアナ・ダンジェロCEOは、カントリー人気の背景にはコロナ禍があると言う。「カントリーの曲は共感を呼びやすい。困難を前にしてもがいたり、それを乗り越えたり、より良い明日を追い求めるといった人間の生きざまを反映している」
さらにダンジェロは「コロナ禍の後、多くの社会的不正義や戦争が起こるなかで、カントリーが支持されているのは、シンプルな物語に安心感を抱けるからかもしれない」と語る。「正直が何よりも尊く、傷つきやすいことはたたえられる。今は集団的な癒やしの時代なのかもしれない」
一方、カントリー・ミュージック協会に勤務していた経験があるミドルテネシー州立大学のタミー・ドナム准教授は「現在のカントリー人気の原動力となっているのは、若いファンだ」と指摘する。