最新記事
大谷の真実

米スポーツライターが断言「大谷翔平は被害者。疑問はある程度解消した」...陣営の不手際が騒動を大きくした

OHTANI’S ORDEAL

2024年4月5日(金)19時45分
アレックス・カーシュナー(スポーツライター)
大谷翔平 水原一平

ドジャース移籍後初のオープン戦出場となった大谷翔平(右)にぴったり寄り添う水原一平(2月27日) CHRISTIAN PETERSEN/GETTY IMAGES 

<特別な関係の通訳だった水原一平が......。米プロスポーツ史上最高額で移籍を果たしたスーパースターをめぐる特大のスキャンダル>

球界最大のスーパースターに、突然降りかかったスポーツ賭博疑惑。だが、その関与がどのくらいのレベルだったのかについて、大きな疑問が生じている。

MLB(米大リーグ)ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平は、常習的なギャンブラーで、カリフォルニア州で登録もされていない違法なブックメーカー(賭け屋)に巨額の借金をつくっていたのか。それとも、借金で首が回らなくなった友人の肩代わりしてやった、とんでもなく気前のいい男なのか。それとも、誰かが大谷の口座から勝手に数百万ドルを賭け屋に送金したのであって、大谷は窃盗の被害者にすぎないのか。

少なくとも2つの捜査が進行し、さまざまな報道が錯綜するなか、大谷は3月25日、ドジャースタジアムで会見を開き、自分の口で状況を説明した。それを聞いて言えることは、「つじつまは合っている」だ。

大谷の説明によって、これまで浮上していた疑問の一部が解けた。もちろんまだ不可解な部分はある。だが、この騒動の結果をめぐる賭けがあるとすれば、多くの人は、大谷が日本版ピート・ローズ(監督時代に野球賭博に関わりMLBを追放された元スター選手)ではなく、詐欺の被害者だったことに賭けるだろう。

それは大谷にとって良いことだし(大きなトラブルは避けられる)、ドジャースにとっても良いことだ(大金を積んでとんでもない男を獲得したのではなかったことになる)。また、ファンにとって良いことだし(好感度抜群のスターを心置きなく応援できる)、なによりMLBにとって良いことだ(スポーツとしての信用を維持できる)。

一連の騒動の中心にいるのは、大谷の通訳だった水原一平(39)だ。2017年に大谷がロサンゼルス・エンゼルスに入団して以来、公の場では必ずと言っていいほど大谷にぴったりと寄り添ってきた。

大谷はプライベートを極めて重視する(最近結婚を発表するまで真剣に交際している相手がいることは知られていなかったし、結婚発表のときも妻の名前を明かさなかった)が、水原は大谷のプライベートを知る数少ない人物だったのは間違いない。

大谷側の不手際が騒動を拡大

2月のドジャースのファン向けイベントで、隣にいる水原との関係を聞かれたとき、大谷は「ビジネスの関係で、友達ではないです」と答えたが、その表情は涙が出てもおかしくないほどの笑い顔だった。

ところが、ドジャースがMLB開幕戦のために韓国を訪れていた3月20日、スポーツ専門局ESPNが驚きのニュースを報じた。南カリフォルニアの違法賭博事業者に対して、大谷の名前で数百万ドル相当の送金がなされていたというのだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米食品大手クローガーとアルバートソンズ、合併破談巡

ワールド

ロシア・ウクライナ、黒海・エネ停戦で合意 ロ「制裁

ビジネス

トルコ財務相と中銀総裁、市場安定化に全力注ぐと外国

ワールド

英、ロシアに全面停戦求める 黒海・エネルギー施設攻
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 4
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 7
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    【クイズ】トランプ大統領の出身大学は?
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中