「源氏物語の作者は男好きだね...」藤原道長のイジりに紫式部が返した言葉とは?
紫式部は「時の人」になったけれど...
このように長編小説の作者と喧伝されようと、モデル問題を引き起こそうと、内裏では『源氏物語』の作者として「時の人」であった。
『日本書紀』『史記』などをマスターした女学者であろうと、一という文字さえ書けない振りをし(『紫式部日記』)、人目に立つことを避け続け、猫を被ったように控えめにし、自分には宮仕えは憂き世界と、自虐的に追い詰めていたのである。
そしてそれは、学んできた歴史書に対する批評に昇華された。「歴史などは人間の一面しか書いていない。物語にこそ委曲を尽くした人間の事柄が書かれている」(『源氏物語』第二十五帖「蛍」)という、有名な文学論を生んだのである。


アマゾンに飛びます
2025年4月29日号(4月22日発売)は「独占取材 カンボジア国際詐欺」特集。タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら