最新記事
映画

ブラピとアンジーの不朽の名作「スミス夫妻」がアマプラでリメーク、新生版はリアル路線

2024年3月5日(火)20時50分
ナディラ・ゴフ(スレート誌カルチャー担当)
新生「スミス夫妻」はリアル路線で

夫婦と偽ってスパイ活動をするジェーン(写真)とジョンは、さまざまなミッションをこなしていく AMAZON MGM STUDIOS

<ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの色気あふれる傑作を再構築した『mr.&mrs.スミス』が描く一味違う親近感と奥深い結婚観>

主演した2人の特別なエロティシズムが命だった映画を、今さらリメークしようとするなんて......。

だが、あの時代の多くのものと同じように、2005年の映画『Mr. & Mrs. スミス』も作り直されてしまった。

アマゾンプライム・ビデオのリブート版ドラマ『mr.&mrs.スミス』は、ドナルド・グローバーありきの作品だ。

本作のクリエーターであり、共同脚本・監督も手がけ、主人公のジョンを演じている。

もう1人の主人公、ジェーンに扮するのはコメディードラマ『PEN15』で知られるマヤ・アースキンだ。

当初の予定が大幅に遅れ、ジェーン役に決まっていたフィービー・ウォーラーブリッジが降板した末、本作は2月にようやく配信された。

残る疑問は1つだ。

果たして、これは映画版と同じくらいセクシーなのか?

コメディードラマ『アトランタ』でグローバーと手を組んだフランチェスカ・スローンが共同クリエーターを務める本作は、映画版の設定をひっくり返している。

ジョンとジェーンは他人同士で、謎の組織の指示を受け、夫婦を装って一緒にスパイ活動をすることになる。

むしろ、1996年に放送されたテレビドラマ『Mr. & Mrs. スミス』に近い話だと思うかもしれない。

だが、本作が映画版を再構築しようとしているのは明らかだ。

確かに、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー主演の映画にあった性的緊張は再現できていない。とはいえ、それは長所だ。

00年代半ばのピットとジョリーの魅力と肩を並べるのは誰にとっても難しい。

見た目だけではない。なまめかしい声のジョリーと自信たっぷりのピットには、官能と誘惑があふれていた。

映画スターというよりコメディー系の俳優であるグローバーとアースキンが「ブランジェリーナ」の沸騰感を出せるわけがない。

だが、これは喜ばしいことだ。

今や各種配信プラットフォームで視聴できる過去の映画を、ひたすらなぞった「リメーク」ほどつまらないものはない。

新たなスミス夫妻には、映画版とは全く異なる何かがある。

ロマコメ作品で味わうような親近感だ。

2人が醸し出すぎこちない魅力は、憧れではなく、現実の自分との近さを感じさせてくれる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 7
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中