K-POP最大の授賞式MAMAはなぜ「日本で開催」された? 国と世代の壁を打ち破った「ENDLESS RAIN」
MUSIC MAKES US ONE
19年、22年に続く日本での開催は、グローバル戦略における日本重視の表れともいえる。世界2位の音楽市場を誇る日本は、Kポップの最大輸出国。お得意さんを大切にするのは商売の基本だが、日本での成功が世界での成功につながるとの認識もある。日本は文化や技術で先に世界の扉をたたいた先輩で、高い水準で協働できるアジア唯一のパートナーだ。
世代を超え音楽で一つに
日本側の思惑もあるだろう。昨今のブームを「Kポップの侵略」と捉える向きもあるが、グローバル文化となったKポップとのコラボは、Jポップの宣伝とビジネスチャンスになる。また、ジャニーズの凋落に象徴される「革新と挑戦」が必要な時期に、Kポップは変革を促す「最強助っ人」になるかもしれない。
とはいえグローバル戦略とビジネスマインドだけで成功できるわけではない。ここでKポップ人気のそもそもの理由と魅力について、MAMAを例に触れよう。まずは毎回それぞれ独創的なコンセプトを提示していること。次に、Kポップの代名詞ともなった「主体的なファンダム」と「善良な影響力」という価値観だ。
世界中のファンが投票する「Worldwide Fansʼ Choice」部門では、結果に応じてアーティストとファンダムの名で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)とCJ社が取り組む途上国の少女たちの教育環境改善キャンペーンに寄付がなされる。今年はBTS、Stray Kids(ストレイキッズ)やKトロット(演歌)の英雄イム・ヨンウンなどが受賞した。
そして何より重要なのは音楽だ。今回のハイライトはFavorite International Artistを受賞したYOSHIKIとKポップアイドルのコラボによる「ENDLESS RAIN」だった。YOSHIKIの優麗なピアノの旋律に合わせてTOMORROW X TOGETHER(トゥモロー・バイ・トゥギャザー)のテヒョンとヒュニンカイが全身全霊を込めて見事に歌い上げる。「続けて」が「ちゅじゅけて」に聞こえる韓国なまりがまたいい。
これで終わらないのがKポップ。なんと、ロックバラードの神曲にBOYNEXTDOOR(ボーイネクストドア)のジェヒョンが韓国語でラップを仕掛ける。「やるなあ」と思った矢先に、RIIZE(ライズ)のアントンがチェロで美しすぎる旋律を奏で、最後にはZEROBASEONE(ゼロベースワン)のハン・ユジンが羽生結弦を彷彿とさせる華麗な舞を披露する。
極め付きは、全出演者と観客との合唱......まさに、国境、人種、世代を越え音楽で一つになる「Music MaKes ONE」というMAMAの理念を体現した最高の舞台だった。
「宇宙一素晴らしいコラボレーション」という声は決して誇張ではない。真のコラボはただのカラオケと違って、「挑戦と革新」を通じて音楽に新たな生命を吹き込む。
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