最新記事
反田恭平現象

ピアニスト務川慧悟が語る、盟友・反田恭平の素顔と資質

Tale of Two Pianists

2023年7月7日(金)17時30分
荒井香織(ルポライター)
務川慧悟,反田恭平

ショパンコンクール本選前に、反田の練習を見る務川(21年、ワルシャワ) COURTESY OF NEXUS INC.

<2021年にエリザベート王妃国際音楽コンクールで3位の栄冠に輝いたピアニスト務川慧悟。同世代の盟友・務川に聞く、反田恭平が生み出す熱狂と喝采の舞台裏。本誌「反田恭平現象」特集より>

日本でいま「最もチケットの取れないピアニスト」である反田恭平、28歳。2021年のショパン国際ピアノコンクールで2位に輝いた反田は、なぜこんなにも観客を熱狂させるのか。

本誌7月11日号(7月4日発売)では、「反田恭平現象」を全20ページで特集。10代の頃から反田を知る、同世代の盟友であるピアニスト務川慧悟に、反田と過ごしてきた11年の軌跡を聞いた。(聞き手:荒井香織)

◇ ◇ ◇


――反田さんとの初対面はいつ?

彼が高校生時代に出場した日本音楽コンクール(12年10月)です。18歳の青年らしい、ロマンチックな青春の魅力が演奏の全面ににじみ出ていました。

いや応なしに人の心をパッと惹き付ける。どれだけ努力を重ねても、こういう演奏はなかなかできるものではありません。

彼より1歳年上の僕は、東京芸大にも通っていましたし、同世代のピアニストの演奏を近くでたくさん見てきました。

でも反田君の演奏は、何かが一味違うんですよ。技術的な完成度が図抜けて高いことに加えて、僕がそれまで見たことがない「何か」を、18歳の彼が確かに持っていたことを覚えています。

18年11月、僕は浜松国際ピアノコンクールに出場しました。人情に厚い反田君は、まだ本選出場が決まる前なのに「ファイナルを聴きに行くよ」と言って浜松まで来てくれました。

「反田恭平&務川慧悟2台ピアノ」を一緒にやらないかと提案されたのは、本選が終わった日の夜のことです。演奏を聴いて感動してくれたみたいでした。翌19年に初共演が実現したデュオコンサートは、今も定期的に続いています。

――今年1~2月、反田さんとのデュオ公演ツアーを成功させました。

札幌から鹿児島まで15カ所のツアーです。15回も同じプログラムを弾けば途中でダレることもありそうなものですが、2人とも毎回新しい変化を見せ、全く飽きることがありませんでした。長い時間2人でずっと一緒に過ごすなか、けんかしたり気まずくなったことは一度もありません。

移動中に隣同士になると、彼は映画を見て、僕は本を読んでいます。雑談することもありますが、お互い好き勝手です。過度に相手に干渉せずストレスを与えないのは、指揮者として、リーダーとして彼が楽団員から好かれる理由でしょうね。

自動車
DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ──歴史と絶景が織りなす5日間
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

インド、米相互関税27%の影響精査 アジア競合国よ

ビジネス

米人員削減、3月は60%急増 連邦職員解雇で=チャ

ワールド

訪米のロ特使、「関係改善阻む勢力存在」と指摘

ビジネス

イスラエルがシリア攻撃強化、暫定政権に警告 トルコ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 7
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡…
  • 8
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 9
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中