男のニッチな需要をエロスが支える睡眠ストリーム配信
Sleep, It’s a Thing
20年3月頃には睡眠のストリーミング配信が増え始めた。当初は一発屋のような扱いで、寝ることでカネを稼ぐという斬新さが注目された。
その頃、新型コロナウイルスのパンデミックが発生し、屋内に閉じ込められた人々が他人との交流を強く求めるようになった。その空白を埋めるかのように、あらゆるジェンダーの人々が自分の生活を動画で共有して世界中の視聴者と親密な関係を築いた。
市場が拡大するにつれて、クリエーターは新しいスパイスを加えている。スタンリーMOVは20年からTikTokで「濃いデンマークなまり」のジョークを中心に投稿していたが、すぐに自分のファンに向けてゲームやミームコンテンツなどのストリーミング配信を始めた。
やがてライブ配信サイトのツイッチに舞台を移し、「ますます混沌とした」睡眠ストリームを投稿するようになった。「最初は拡声器を使い、大きな音に合わせてLEDライトも使ってみた」
ファンはツイッチのポイント(動画を視聴して獲得するか購入する)を使ってスタンリーのスピーカーやライトを作動させ、寝ている彼を起こすことができる。過激な小道具を使う配信者もいて、スタンリーによると「落ち葉を吹き飛ばすブロワーや紙吹雪の大砲」や「チップを渡すとくねくねと動く風船」もある。
スタンリーは欲情的な睡眠ストリーム配信について、「(配信の世界の)淫らで性的な需要と供給は昔からある」と語る。
「それがインターネットだ」と、リリャも言う。「(リアルの世界に)そういう嗜好が存在するなら、オンラインポルノにも存在する」
ただし、睡眠ストリーム配信は、厳密にはポルノではない。勃起を見たい人や「睡眠フェチ」もいるが、メーキャップの個人指導や韓国発の「モクバン(食事の実況中継)」のように、仲間意識を感じたい視聴者もたくさんいる。
サイト側は監視を強化
実際、多くの視聴者は、健全なつもりがいつの間にかセクシーな領域に足を踏み入れている。あるフォーラム(リンク先の表示はやめておこう)にこんな投稿があった。「眠るために単調な宇宙のドキュメンタリーを見ようと思ってアクセスしたのに、ギンギンに興奮している」
配信する側は、視聴者が自分の「作品」とどのように関わるのかは分からない。リリャはウォーホルへのトリビュートを共有したかっただけだが、大勢の「クマ」を興奮させることになった。自身はストレートだが、むしろ再生回数の伸びを見て、ゲイの視聴者が望むものを提供するようになった。