最新記事

映画

二宮和也×監督対談『ラーゲリより愛を込めて』 瀬々敬久「二宮くんからお願いされたこと」

HOPE, BONDING AND LOVE

2022年12月14日(水)11時15分
大橋 希(本誌記者)
松坂桃李、瀬々敬久、二宮和也

(左から)松坂桃李、瀬々敬久、二宮和也 ©2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ©1989 清水香子

<話題作の今日的意義から演出・演技論、撮影の裏話まで、主演俳優・二宮和也と瀬々敬久監督が舞台裏を語り合った>

シベリアの強制収容所が舞台の映画『ラーゲリより愛を込めて』(12月9日公開)の主人公・山本幡男(はたお)を演じた二宮和也と監督の瀬々敬久に、作品の今日的意義から演出や演技論、撮影の裏話までざっくばらんに語り合ってもらった。

◇ ◇ ◇


――この作品に参加した経緯から教えてください。

瀬々敬久 プロデューサーから、こういう原作(辺見じゅん著『収容所〔ラーゲリ〕から来た遺書』)があるが興味はあるかと言われて。読んでみて、最後の友情が生んだ奇跡のような実話にすごく興味を持ちました。

僕が子供の頃は「岸壁の母」がヒットしたり、夏になるとシベリアに遺骨を捜しに行くことがニュースになったりして、抑留の話が一般の日本人にとってまだ近しい感覚だった。最近は忘れられがちになっているから、もう一度自分たちの歴史として捉え直すことも大事だなと感じ、やりたいと思ったんです。

magSR20221214filmtalk-2.jpg

©2022映画「ラーゲリより愛を込めて」製作委員会 ©1989 清水香子

二宮和也 僕がお話を頂いたのはちょうど嵐が活動休止になる年だったので、申し訳ないですが嵐の仕事に集中したいとお伝えした。その時にプロデューサーから「待ちます」と言っていただけたので、活動を休止してから撮影に入りました。

こうした戦争についての作品だったり、瀬々さんとだったり、出演したいと思う方は大勢いるなかで、そうした判断をしていただいてありがたかったです。

――二宮さんから見た瀬々監督は?

二宮 瀬々さんはわりと硬派な、人間を捉える作品が多いという印象を持っていました。

僕自身はアクションができるとか、違う言語が話せるとか、何か突出したものがある人間ではないので、瀬々さんの組に行ったときにどんなことができるかなと作品を見ながら考えたりしましたが、実際に現場に入ってみて、とてもチャーミングな方という印象を持ちました(笑)。

あと、大勢の役者陣の名前を覚えている点がすごくて。例えば僕と桐谷(健太)くんが手前で芝居をしていると、後ろにいる人の名前も頭に入っている。今回は群像劇だったから役者がたくさんいるのですが、「君!」とか「そこの!」じゃなくて、「何々くんと何々くん、もうちょっとこっちだよ」と指示を出したりする。それがすごく多いんですよ。僕ら主要な俳優は途中から、「瀬々さん、僕たちのこと見てるかな?」と不安になるくらい(笑)。僕は初めて会いました、そういう方に。

トップの人間が見てくれているって思えたら、役者のモチベーションは上がりますよね。だから現場の活気はすごくありました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ビジネス

ECB、インフレ予想通りなら4月に利下げを=フィン

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与

ビジネス

英インフレ期待上昇を懸念、現時点では安定=グリーン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中