『イカゲーム』主演のイ・ジョンジェ 遅咲きスターが「カンヌ絶賛」の初監督作を語る
Success Is Not a Game
イは「ギフンが世界のために何かをするなら、とても誇りに思う」と語るのみ。シーズン2の制作が今年6月に正式に発表されたことは「大いに喜ばしい」と言いつつ、「詳細については何も知らない」と話す。
「監督はまだ筋書きを練っている最中だと思う。僕自身このドラマのファンなので、シーズン2をとても楽しみにしている」
敵同士の奇妙な絆を描く
とはいえ、ギフン役を演じるのは楽ではなかったようだ。「生き残るためにイカサマをやり、人をだますよう強いられた人間を演じるのは非常に難しく、忘れ難い経験になった」と、イは話す。「自分が悪に染まったようだった。人間がどこまで残酷になり得るか演じて見せなければならず、正直きつかった」
ギフンは「心温かい男」だと、イはみている。「彼のいい所はとても好きだ。極限的な状況でも人を助けようとする。根は優しい男なんだ」
監督デビューを果たした『ハント』では、1999年に韓国で公開された映画『太陽はない』でダブル主演したチョン・ウソンと久々にコンビを組んだ。2人は前作以来、個人的に親しくしてきた。チョンはネットフリックス配信の韓国製SFドラマ『静かなる海』の製作総指揮も務めている。
『イカゲーム』が世界中で大ヒットしたおかげで、『ハント』も国際的に注目を浴びた。予想外の熱視線にイは普通ではない緊張を強いられたと話す。カンヌで自身の監督作品を公開することは「つつましくもささやかな夢」だったそうだ。「試写は普段でも緊張するが、カンヌでは特に緊張した」と、イは振り返る。
「何しろ初めて監督した映画を、世界中から集まった観客の前で披露するのだから。字幕の翻訳が正しいかどうか心配でたまらなかった。上映後の観客の反応には驚いたし、照れくさくもあった。あんなに長い喝采を浴びたのは、生まれて初めてだったんだ」
『ハント』は諜報機関のエージェント2人をめぐるスパイアクション映画。組織に潜り込んだスパイをあぶり出そうとして、男たちは互いに疑惑の目を向ける。
もともとイは俳優として作品に関わっていたが、途中から製作も兼ねた。これはという脚本家と監督が見つからなかったことから、両方とも自分で引き受けた。
脚本の執筆に4年を要したのは「キャラクターのバックグラウンドを掘り下げる」ためだったという。「壮絶なバトルをスクリーンいっぱいに繰り広げたかった。それにはまず、2人があそこまで激しく対立する理由をきちんと見せなければと思った」