最新記事

映画

『イカゲーム』主演のイ・ジョンジェ 遅咲きスターが「カンヌ絶賛」の初監督作を語る

Success Is Not a Game

2022年9月9日(金)17時13分
スー・キム

イは「ギフンが世界のために何かをするなら、とても誇りに思う」と語るのみ。シーズン2の制作が今年6月に正式に発表されたことは「大いに喜ばしい」と言いつつ、「詳細については何も知らない」と話す。

「監督はまだ筋書きを練っている最中だと思う。僕自身このドラマのファンなので、シーズン2をとても楽しみにしている」

敵同士の奇妙な絆を描く

とはいえ、ギフン役を演じるのは楽ではなかったようだ。「生き残るためにイカサマをやり、人をだますよう強いられた人間を演じるのは非常に難しく、忘れ難い経験になった」と、イは話す。「自分が悪に染まったようだった。人間がどこまで残酷になり得るか演じて見せなければならず、正直きつかった」

ギフンは「心温かい男」だと、イはみている。「彼のいい所はとても好きだ。極限的な状況でも人を助けようとする。根は優しい男なんだ」

監督デビューを果たした『ハント』では、1999年に韓国で公開された映画『太陽はない』でダブル主演したチョン・ウソンと久々にコンビを組んだ。2人は前作以来、個人的に親しくしてきた。チョンはネットフリックス配信の韓国製SFドラマ『静かなる海』の製作総指揮も務めている。

『イカゲーム』が世界中で大ヒットしたおかげで、『ハント』も国際的に注目を浴びた。予想外の熱視線にイは普通ではない緊張を強いられたと話す。カンヌで自身の監督作品を公開することは「つつましくもささやかな夢」だったそうだ。「試写は普段でも緊張するが、カンヌでは特に緊張した」と、イは振り返る。

「何しろ初めて監督した映画を、世界中から集まった観客の前で披露するのだから。字幕の翻訳が正しいかどうか心配でたまらなかった。上映後の観客の反応には驚いたし、照れくさくもあった。あんなに長い喝采を浴びたのは、生まれて初めてだったんだ」

『ハント』は諜報機関のエージェント2人をめぐるスパイアクション映画。組織に潜り込んだスパイをあぶり出そうとして、男たちは互いに疑惑の目を向ける。

もともとイは俳優として作品に関わっていたが、途中から製作も兼ねた。これはという脚本家と監督が見つからなかったことから、両方とも自分で引き受けた。

脚本の執筆に4年を要したのは「キャラクターのバックグラウンドを掘り下げる」ためだったという。「壮絶なバトルをスクリーンいっぱいに繰り広げたかった。それにはまず、2人があそこまで激しく対立する理由をきちんと見せなければと思った」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

伊藤忠、西松建設の筆頭株主に 株式買い増しで

ビジネス

英消費者信頼感、11月は3カ月ぶり高水準 消費意欲

ワールド

トランプ氏、米学校選択制を拡大へ 私学奨学金への税

ワールド

ブラジル前大統領らにクーデター計画容疑、連邦警察が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中