最新記事

映画

『イカゲーム』主演のイ・ジョンジェ 遅咲きスターが「カンヌ絶賛」の初監督作を語る

Success Is Not a Game

2022年9月9日(金)17時13分
スー・キム
イ・ジョンジェ

初監督作『ハント』でイ(左)は盟友チョン・ウソン(右)と火花を散らす MEGABOX

<『イカゲーム』の大ヒットで一躍注目を浴び、初監督作品『ハント』がカンヌで好評を博した、ベテラン俳優が見据える次なるステップ>

まるで大渦にのみ込まれたような1年だった。韓国ドラマ『イカゲーム』で主役のギフンを演じたイ・ジョンジェは、この役で全米俳優組合賞、放送映画批評家協会賞を受賞。ゴールデングローブ賞、エミー賞にノミネートされた。今年5月にはカンヌ国際映画祭で初監督のスパイアクション映画『ハント』(仮題)を上映後、7分間のスタンディングオベーションを受ける栄誉にも浴した(ちなみに『イカゲーム』は14部門でエミー賞の候補に上がった)。

本誌はそんな彼に、アメリカの主要活字メディアとしてはいち早く取材を申し込み、じっくり話を聞いた。インタビュー時、彼は韓国の首都ソウルで『ハント』の撮影終了後の編集作業に追われていた(同作は韓国では8月10日に公開され、日米の封切り日は調整中)。

イは初めてメガホンを取った感想やハリウッド進出への抱負、主演ドラマの大成功で韓国のエンターテインメント界の一員として「より大きな責任」を感じていることなどを率直に語ってくれた。

49歳のイは韓国ではベテランの人気俳優だが、その名が世界中に知れ渡ったのは『イカゲーム』が米動画配信大手ネットフリックスの最大のヒット作になったからだ。

無邪気な子供の遊びが残酷なサバイバルゲームと化すこのドラマ、最終回は謎めいた形で終わった。イ演じるギフンは生き延びて賞金を手に入れ、アメリカに向かう飛行機に乗ろうとするが、土壇場で気を変える。ゲームの関係者らしき人物に電話をかけた後、搭乗口から引き返すのだ。

彼は何をするつもりなのか。視聴者としては続編の展開が大いに気になるところだ。

イによると、ギフンはゲームの黒幕と彼の目的を知ってショックを受けたが、何とか立ち直ると「全てを忘れて、(アメリカにいる)娘に会うことだけ考えようとした」。だが空港に向かう途中、駅のホームで謎のスカウトが別の男にメンコの勝負を挑み、ゲームに引き入れようとする場面を目撃する。ギフンはそのことが気になり、アメリカ行きを断念したのだと、イは解釈している。

「さらなる犠牲者がさらなる苦痛を受けるのを何としても防がなければと思ったんだ。ギフンがそう決意してくれて、僕はとてもうれしい」

ドラマの脚本・監督を務めたファン・ドンヒョクは、シーズン2でもイがギフンを演じ、「世界のために何かをする」と語っている。だが監督もイも、それ以上のことは何も明かさない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

伊藤忠、西松建設の筆頭株主に 株式買い増しで

ビジネス

英消費者信頼感、11月は3カ月ぶり高水準 消費意欲

ワールド

トランプ氏、米学校選択制を拡大へ 私学奨学金への税

ワールド

ブラジル前大統領らにクーデター計画容疑、連邦警察が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中