独占インタビュー:山下智久はなぜ海外を目指すのか
新しいものを知るときって、新しい環境に自分で入っていって、試練に耐えないといけない。そのためには負荷がかかる。負荷がかかると筋力が増す。筋力が増すと、次は重いおもりが上がるようになる。今まで5回しかできなかったことが10回できるようになるって、結構すごいことだと思う。そんな感じで、外国の人に会っても、同じ人だよね、って思えるようになった。
昔は英語を話すときも間違えちゃ駄目だと思っていたけれど、途中から思わなくなった。外国の人に「日本語しゃべれる?」って聞いたら、「けっこうしゃべれるよ」と言う。「なになに?」って聞くと、「スシ」「ニンジャ」。あ、これでいいのか!って(笑)。単語だけだとしても、気持ちを伝えようとするエネルギーのほうが大事。
あとは、相手のカルチャーにリスペクトを持って、自分の意志も強く持つこと。『TOKYO VICE』(日米共同制作ドラマ、22年春にWOWOWで放送)で日本のシーンを撮影したときには、カルチャー的にこれは絶対に変だから、リアルに忠実に再現するんだったら俺の意見を聞いて、と言っていた。それに対しては制作側も、超リスペクトって感じで。
逆に、僕は僕の意思をちゃんと伝えて、ディスカッションをした上で監督や他のキャストが言うやり方のほうが面白くなると思ったら、確かにそうだよねって素直に言えたし。素直になること、自分のアイデンティティーを強く持つことと、相手を尊重することも学んだと思う。
――来年公開予定の『神の雫』を7月までフランスで撮影していたというが、日本での制作と違いはあったか。
妥協は少なくて、何かあると改善するまでみんなで試行錯誤して、外国のキャストさんも時間が過ぎても誰も文句を言わずに熱心にやっていた。日本語のシーンについては、まずフランス語を英語にして、英語を日本語にするから口語的ではない言葉がたくさんあって......その不自然さみたいなものも、他の日本のキャストさんとよく直したり、足したり削ったりしていた。
日本の作品は時間がないことが多い。たぶんみんな、できることならやりたいけれど、連続ドラマなどはその期間に撮って出さなければいけないので演技を追究している時間がないというか。そんななかでも120%出さなければならないし出すのだが、海外の作品のほうが時間がたっぷりあるし、恐らく予算もある。